2023/09/12

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

NPSを向上させる5つの取り組みとは?数値向上の重要性や事例も紹介

NPSとは、企業の成長に欠かせない顧客ロイヤルティを数値化・分析するための指標です。NPSを向上させるためには単なるスコアの計測にとどまらず、結果をもとに具体的なアクションを起こす必要があります。

この記事では、NPSの計算方法やNPSを向上させるために必要な取り組みなどについて詳しく解説します。また、NPSツールを導入して業務を大きく改善した企業の事例もあわせて紹介するので、ツールの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • NPSは顧客ロイヤルティを数値化して分析するための指標。企業の成長とも相関性がある
  • NPSが重要とされる理由には、ロイヤルカスタマーの創出や他社との差別化につながる点、などがある
  • NPSを向上させるためには、「顧客の不満や価値を深堀りする」「顧客に改善例を示す」「NPSの設問を工夫する」「NPSツールを導入する」などの取り組みが必要

NPSとは

「NPS(Net Promoter Score)」とは、顧客ロイヤルティを数値化して分析するための指標です。NPSは欧米の公開企業の実に3分の1以上が活用している指標とされ、事業成長率との高い相関関係があることもわかっています。ここではまず、いま一度NPSの概要を確認しましょう。

NPSは顧客ロイヤルティを計測できる指標

NPSは「企業やブランドに対してどの程度愛着や信頼を持っているか」を示す顧客ロイヤルティを数値化できるなど、CX(顧客体験)の評価・改善に効果的な指標です。近年、機能や価格などによって商品・サービスの差別化を図るのが難しくなっているなか、カスタマーサービスやCXを重視する考え方によりNPSは注目を集めています。

NPSは「あなたは企業の製品・サービスを友人や同僚にすすめる可能性がどのくらいありますか?」という質問に対し、0~10の11段階で評価してもらいます。NPSを測定することで自社の商品やサービスを推奨する顧客を客観的に把握できることから多くの企業が導入しており、ベンチマークとしても活用することが可能です。

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NPSは企業の成長と相関性がある

NPSは顧客ロイヤルティをはじめ、企業の成長とも相関性があることがわかっています。Satmetrix社のホワイトペーパー「THE POWER BEHIND A SINGLE NUMBER」において、複数の業界400社以上の企業・ブランドで調査を行い15万人以上からの評価を分析した結果、NPSは企業の売上高成長率と高い相関があることが分かりました。また、ベイン・アンド・カンパニーが実施した調査でも、おおよその業界においてNPSのトップ企業は競合他社の2倍の売上高成長率を誇るという結果に。

これらは、顧客ロイヤルティが企業の成長に貢献することを示しています。企業の成長との相関は顧客満足度調査では計測できないため、NPSは企業にとってより重要な指標といえるでしょう。

出典:Net Promoter Score: The Power Behind A Single Number
出典:How the Net Promoter Score Relates to Growth

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NPSの計算方法は「推奨者ー批判者」

NPSスコアを計算するためにはまずアンケートを実施し、「自社の商品やサービスを友人や知人にどの程度おすすめしますか」といった質問を出して0-10の11段階の回答を得ます。9~10点をつけた回答者を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」に振り分け、回答者全員に占める推奨者の割合(%)から批判者の割合を引いたものがNPSスコアです。

たとえば、推奨者が70%、批判者が30%の場合は「70(推奨者)-30(批判者)=40」となり、NPSスコアは40となります。

NPSの向上が重要な理由

ここでは、NPSの向上が重要な理由について解説します。

ロイヤルカスタマーの創出につながる

NPSを向上させるためにはあらゆる施策を行う必要があります。その過程で顧客理解が深まり、よりよい商品やサービスが生まれるきっかけとなるでしょう。結果として、NPSはロイヤルカスタマーの創出につながります。また、顧客満足度調査では、他者へ推奨するかどうかまでは把握できませんでしたが、NPSでは他者への推奨度が数値化できるため、顧客ロイヤルティを把握しやすくなるのもNPSが重要な理由の1つです。

新規顧客を獲得するためには、既存顧客の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」からも分かるように、ロイヤルカスタマーの創出はビジネスの効率化や企業の成長にもつながる重要な要素といえます。

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他社との差別化につながる

前述のとおり、NPSは多くの企業が導入しており、ベンチマークとして活用できます。NPSにより、業界平均と比較して自社の立ち位置や改善点を明確にしたうえで試行錯誤することで、自社独自の強みを打ち出し、他社との差別化を図ることも可能です。競合他社や業界平均よりも高いNPSを獲得できていれば、自社の施策が成果を出していることの証明にもなるでしょう。

またあわせて、他社がどのような施策を行っているか、どのような成果を上げているのかなどを参考にするのもおすすめです。価格や機能性だけでは差別化することが難しくなった近年では、顧客ロイヤルティに関連するNPSを追求することが強い差別化ポイントとなります。

NPSを向上させる5つの取り組みとは?

ここからは、NPSを向上させる5つの取り組みについて見ていきましょう。

1|顧客の不満を深掘りする

NPSで明確化した顧客の不満を深堀りし、より多くの改善点を洗い出して施策に落とし込むことでNPSの向上につながります。そもそも顧客満足度は「いかに自分を大切に扱ってもらえたか」を、顧客が実感できるかによるところが大きいでしょう。たとえば、「カスタマーサポートでの待ち時間が長い」という不満からは、「この企業は自分の時間を軽視している」という具体的な顧客感情が読み取れます。

上記の例では顧客の時間を大切にする施策を考え、「お客様のことを大切にしています」とアピールする姿勢が必要になるでしょう。

2|顧客が感じている価値を深掘りする

NPSを向上するためには、顧客の不満だけでなく、顧客がどのような点に価値を感じているかを深堀りすることも重要です。つまり、顧客の「感動体験」を創出して届けることが必要となります。まずは顧客のことをより深く理解し、まだ表出していない要望や価値観を見つけることから始めましょう。顧客が意識していなかった心の琴線に触れるような体験をしたときに感動は生まれ、企業に対するロイヤルティも醸成されやすくなります。

自社の強みを活かした施策を実行できれば、NPSの向上にもつなげられます。推奨者のアンケートから価値を感じているポイントを抽出し、中立者へ効果的に伝える方法を検討するのも1つの方法です。

3|改善例を顧客に示す

顧客の信頼を獲得してNPSを改善していくためには、アンケートに協力してくれた顧客やクレームを伝えてくれた顧客に改善例を示すことも重要です。特に、ネガティブな評価には業務改善のヒントが隠されているものです。また裏を返せば、顧客は企業に対して改善を期待する気持ちがあるからこそ、ネガティブな評価をしたともいえるでしょう。

顧客は「自分のネガティブな評価や口コミに対応してくれた」と感じ、企業に対して良い印象を持つはずです。また、早めの対応により、ネガティブな口コミの拡散や自社からの離脱を防ぐことにもつながります。さらに、実際の改善例を顧客に積極的に伝える取り組みも効果的です。

4|NPSの設問を工夫する

NPSの設問を設定する際には、良質な意見を集めるためにも工夫することが重要です。ただやみくもに顧客の声を集めても、NPS向上につなげることは難しいでしょう。たとえば、「あなたがスコアをつけた理由を教えてください」といった設問からだけでは、顧客の価値観や共感ポイントを把握することは容易ではありません。

そこで、スコアの理由だけでなく、商品やサービスを利用した際の顧客体験や要望など、顧客の期待が読み取れる「自由回答設問」を設けるのがおすすめです。

NPSの設問例

以下は、NPSの具体的な設問例です。

  • あなたが〇〇を利用したときの「思い出」を自由に記載してください
  • あなたが〇〇を利用したときに「物足りなかった点」を自由に記載してください
  • あなたが〇〇を利用したときに「これまでの類似商品・サービスと違うと感じた点」を自由に記載してください

これらのように、顧客の行動や心理を読み取れる設問を選ぶことが重要です。

5|NPSの分析にツールを導入する

NPSの分析には調査票の作成や回答の集計、分析、その後の改善アクションなど、工数がかかるケースも少なくありません。また、計測後の適切な分析と具体的なアクションに落とし込むことが重要なことから、自社でノウハウを持たない場合、NPSの計測・分析ができるツールを導入することでNPSの効果を高めることができるでしょう。

ツールの導入により定量・定性的な分析が可能になり、NPS向上への具体的なアクションを策定可能です。アンケートの作成や分析など一連の業務を効率化でき、結果としてNPS向上への取り組みに注力できます。

NPSの向上につながる改善アクションを促進する「NPX Pro」

「NPX Pro」は、CX向上を支援するNPSツールです。顧客のフィードバックを分析し、改善アクションまでの促進をスムーズに実現できます。NPX Proの主な機能は以下のとおりです。

  • NPSアンケートの作成、配信
  • NPSアンケートの集計、分析
  • NPSアンケートの分析結果の共有
  • 改善アクションの促進・管理

NPS調査の設問設計から配信、回収をはじめ、分析、改善アクションの提案、社内における情報共有も可能にします。また、メールやSMSでのアンケート配信などの回答率の高いリサーチが可能なうえ、カスタマージャーニー・ショートタームジャーニーに合わせたアンケート作成、複数の調査の一括管理が可能。コメントのネガポジを通知するアラート機能や、担当者のアクション履歴・進捗が管理できる点も特徴です。NPX Proを活用することで最適な顧客へアプローチできるため、最大限のマーケティング効果が期待できます。

導入事例1|トレンドマイクロ株式会社 様

セキュリティソフトウェア業界を牽引するトレンドマイクロ株式会社 様は、これまで他社でNPS調査を実施していたものの、「結果を受けてどう動けば改善するか?」といったところが把握できずにいたそうです。そこで、調査後を見据えた設計ができるNPX Proに関心を持ち、利用を開始しました。

現在は年1回のリレーショナル調査と、新規登録開始直後のオンボーディング調査の2種類を実施中で、今後はライセンス更新後の調査も実施に向けて準備中です。NPS Proの導入後は、何が問題なのかの当たりをつけられるようになり、改善ポイントがはっきりしてきたといいます。また、NPSが「会社全体で追っていける指標」として社内に浸透してきたことも効果の1つといえます。

導入事例2|NTTタウンページ株式会社 様

NTTタウンページ株式会社 様は、昨今のDX化の流れに乗り、デジタルリードなどのサービス拡大を始めたことをきっかけにNPSへの関心が高まっていきました。当初は独自のNPS調査を行なっていましたが、送付するメール数や集計数などが膨大なことから社内のリソースで対応しきれず、2021年にNPX Proの導入に踏み切ります。

その結果、顧客接触回数が月110回から2,100回へ増大し、2022年度下半期の解約率は4%ほど低下したといいます。現在は、ホームページを起点に顧客獲得を支援する「デジタルリード」サービスのNPS調査や、社内表彰の評価基準としてもNPX Proが活用されています。

NPSは適切な改善アクションで向上する

NPSは、企業の成長に大きな影響を与える顧客ロイヤルティを計測するために有効な指標です。本記事で紹介したように、顧客の不満や価値を深堀りし、NPSの設問を工夫したり、適切なツールを導入したりなどの改善アクションを起こすことで、NPSを向上させるきっかけがつかめるでしょう。

設問によっては、スコアだけでなく自社の顧客体験の強みと弱みも把握できます。ただ単に調査を行うのではなく結果を分析し、さらなるロイヤルティの獲得や改善アクションを起こすことにこそNPSの真の価値があるといえます。まずは、NPSやNPX Proに関する資料をダウンロードしてみてください。

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