2024/03/22

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

社内アンケートの設計方法や例文を紹介|本音を引き出すためのポイントも解説

従業員が、組織や業務についてどのような思いを抱いているかを知る機会は意外と少ないものです。従業員の不満をそのままにしておくと、モチベーションの低下や離職などにつながる恐れがあります。定期的に社内アンケートを実施し、従業員の本音を拾い上げることが重要です。

本記事では、社内アンケートが重要とされる背景や実施する効果やステップ、成功させるためのポイントなどについて解説します。また、アンケートの質問項目の作り方や例文もあわせて紹介するので、社内アンケートを実施して課題の抽出・改善をしたい企業のご担当者は、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  • 社内アンケートの目的は社内の現状を把握し、課題を解決すること
  • 社内アンケートを実施することで、従業員の本音を収集できる、レピュテーションリスクの防止に役立つ、従業員満足度や顧客満足度の向上につながる、などの効果が期待できる
  • 社内アンケートを成功させるポイントには、本音を引き出せるよう匿名式にする、質問を増やしすぎない、自由記述の項目を設ける、などがある

社内アンケートの重要性が高まる背景

社内アンケートは、社内の現状を正確に把握して課題を解決することや、自社の経営方針が従業員に定着しているか確認することが主な目的です。昨今、企業が社内アンケートを実施し、従業員満足度を高めようとする動きが見られます。そして、社内アンケートが重要視される背景の一つが労働人口の減少です。

日本では少子高齢化が進み、今後もますます労働人口の不足が進むと予想されています。社内に人材を確保するためには、従業員満足度を高め、選ばれる企業になる必要があるのです。また、人材の流動性が高まっている点も背景の一つです。働き方の多様化や価値観の変化などにより、特に若い世代には終身雇用という意識がなくなってきています。

転職が当たり前となる時代において、満足できない職場環境だと人材が流出する可能性が高くなるでしょう。「長く働きたい」と思えるような職場環境を整備することで離職率が低下し、企業は優秀な人材を維持・確保できます。そのために、社内アンケートは重要な役割を担っています。

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社内アンケートとサーベイの違い

社内アンケートとは、職場の環境や働き方、報酬などに対する従業員の満足度を測定するための包括的な施策です。一方、サーベイは日本語で「調査」という意味を持ち、特定の項目に特化した内容のアンケートを指します。例えば、人事制度に特化したものや、チームマネジメントに特化したものなどが含まれます。さらに、サーベイは調査の実施やその活動までが含まれますが、社内アンケートにそのような活動は含まれません。

サーベイの種類

サーベイには、センサスサーベイとパルスサーベイの2種類があります。センサスサーベイは、半年や1年に1度実施される比較的規模の大きな調査で、質問数が多いところが特徴です。主に、中長期的な改善点を探るために行われます。

一方、パルスサーベイは、週次や月次など短期間で実施される調査方法です。質問数は少なく、職場の抱える課題を早期に発見し、改善するために行われます。センサスサーベイとパスルサーベイは、自社の目的に合わせて使い分けるとよいでしょう。

社内アンケートを実施する効果

ここでは、社内アンケートを実施する効果について解説します。

従業員の本音を包括的に収集できる

社内アンケートを実施することによって、年齢や職種、役職、雇用形態など、従業員の属性にかかわらず本音を収集できます。職場環境や人間関係などにおいて、側から見ていると問題がないように見えても、従業員が不満を抱えているケースは少なくありません。このようなケースには、無記名のアンケートを実施すると、見落としがちな現状を把握することが可能です。

従業員に本音で回答してもらいたければ、アンケート実施の目的を事前に説明することが必要です。また、回答内容は評価に影響するのか、匿名でも個人が特定される可能性はあるのかなど、回答のリスクについても説明しておくとよいでしょう。

レピュテーションリスクの防止に役立つ

社内アンケートはハラスメントやコンプライアンス違反などの早期発見につながり、結果としてレピュテーションリスクの防止につながります。例えば、社内で問題が起こっている場合でも報告する方法がなかったり、従業員が見てみぬふりをしてしまったりすると、問題の解決は遅れてしまうでしょう。匿名性の高いアンケートは、このような場合にも役に立ちます。問題が大きくなる前に発見し、対処法を見つけることが重要です。

従業員満足度を高め人材の確保につながる

社内アンケートをもとに職場環境や報酬制度などを改善することで、従業員の定着率の向上や優秀な人材の応募が増える可能性が高まります。企業が従業員のためにより良い環境を整えようとする姿勢を示すことで、従業員の企業に対する信頼感は増すでしょう。その結果、エンゲージメントが向上し、生産性向上や業績アップにつながることが期待できます。

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定期的に実施して推移を確認できる

従業員の業務内容や環境、従業員数などは変化するため、たとえ質問内容が同じでも、その時の状況に応じて結果が変わることがあります。そのため、社内アンケートは単発では効果が明確にならず、特定の項目について一定期間アンケートを行うことが必要です。定期的に実施して推移を確認することで、課題の改善度合いや新たな課題の察知などに役立ちます。

業務の改善・コミュニケーションの活性化により顧客満足度の向上につながる

社内アンケートをもとにした改善を実施して従業員の満足度が向上すると、業務の効率化やコミュニケーションの活性化につながります。その結果、顧客満足度の向上によりロイヤルカスタマーが増加することで、業績の向上に寄与するでしょう。実際に、従業員の不満を取り除くことで、顧客満足度が向上するという論文も発表されています。

また、従業員満足度を高めることで、顧客満足度や企業の業績が向上するサイクルを生み出す「サービス・プロフィット・チェーン」といった考え方もあります。

出典:デジタルプラクティス|コンタクトセンタにおける社員満足度と顧客満足度の関係性について

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サービス・プロフィット・チェーン(SPC)とは?従業員満足度を企業の成長につなげる

社内アンケートを実施する5ステップ

ここからは、社内アンケートを実施する5つのステップについて解説します。まずは全体の流れを把握しましょう。具体的なアンケートの設計方法などについては次章で解説します。

1|社内アンケートを実施する目的を策定する

目的がないまま社内アンケートを実施すると、一貫性のない質問内容になってしまう、分析やアクションプランの策定がうまくできなくなる、などの恐れがあります。また、アンケートの目的が明確でないと形式的なものだと認識され、回答率の低下にもつながります。

有益な情報を集めるためにも、まずは自社の現状における課題の仮説を立て、社内アンケートの目的を明確にしましょう。

2|社内アンケートの設問項目や内容を設計する

アンケートの目的が明確になったら、アンケートの具体的な設問項目や内容を設計します。必要な質問項目の洗い出しや質問の数、順番、回答における選択肢の種類などを検討しましょう。ここで大切なのが、アンケート実施後に改善案を立案することを前提に、「どのような情報が必要か」をしっかりと理解しておくことです。設問内容はアンケートの目的をもとに、必要な情報が得られる内容にする必要があります。

3|社内アンケートを実施する

社内アンケートを実施する前には、従業員へアナウンスしておきます。その際、実施する目的やどのような種類のアンケートであるか、結果をどのように活かすのかなどもあわせて伝えましょう。目的や結果の活かし方を明確に伝えることで、回答内容の質や当事者意識が高くなります。回答率を上げるためには、実施期間の明確化や従業員にとってのメリットを伝えることも大切です。

4|社内アンケートの集計と分析を行う

アンケート期間の終了後は、迅速に集計・分析を行います。集計時には数値だけにとらわれず、そこに含まれる意味や課題を抽出することが重要です。また、少数派の意見は見過ごされがちなので注意しましょう。

自由記述式の回答で1つでも気になるものがあれば、どのような背景による回答なのかを汲み取ることも必要です。従業員の属性によっても捉え方や回答の意味が異なるため、多角的な視点で分析し、複数の仮説を立てるようにしましょう。

5|改善策を立案する

社内アンケートは結果を分析し、改善策の立案、実施、評価まで行い初めて意味をなす施策です。結果を集計・分析して満足してしまっては、十分な効果を得られません。社内コミュニケーションや業務量、評価制度など、分析により抽出した課題を改善する施策を検討します。その際、具体的なアクションプランや期間、KPIを設定して行うことが重要です。複数の課題がある場合は、よりインパクトの大きな課題を優先して改善を行いましょう。

社内アンケートの作り方と例文(テンプレート)

ここからは、社内アンケートの導入文や質問内容、回答の選択肢の作り方を例文を交えて解説します。

導入文の作り方と例文

社内アンケートでは冒頭から質問に入るのではなく、まずアンケートの目的や回答の注意点を伝えます。なかには、役職などの立場から「選ぶべき」回答を選択してしまう人もいるため、本音の回答が得られないケースもあります。目的と注意点を明確に伝えることで本音で回答しやすくなり、精度が高まります。また、アンケートの目的がはっきりすることで、従業員の「協力しよう」という意識が芽生えやすくなるでしょう。

目的に関する例文

以下は、社内アンケートの目的に関する例文です。

《例文》

本アンケートでは社内コミュニケーションにおける課題を拾い上げ、一人ひとりが働きやすいと感じる職場環境を整備することを目的に実施しています。みなさんの声に向き合い、問題がある場合には改善策を立案したいと考えているので、本音で回答いただけますようお願いいたします。

以上のように、目的とアンケートに回答するメリットを伝えることで、真摯にアンケートと向き合う意識が生まれます。

注意点に関する例文

以下は、回答の注意点に関する例文です。

《例文》

本アンケートではすべての設問に回答してください。

本アンケートでは、回答に一貫性があるかをチェックしています。設問を読まずに回答したり、正解を意図した回答をしたりしている場合、すべての回答が無効になるためご注意ください。また、回答が無効になった場合は再度回答していただく必要があるため、本音で回答いただけますようお願いいたします。なお、無記名のアンケートであり、回答者を特定することはありません。

このような注意点を記載することで、無意識のバイアスを取り除き、従業員の本音を得られる可能性を高められます。

質問項目の作り方と例文

続いて、基本情報の項目や質問項目を作るための前提知識、例文を紹介します。

基本情報の項目内容

性別や役職、所属部署などの基本情報を箇条書きで記載します。例えば、新入社員と管理職、また他部署の従業員同士では意見が異なることが考えられます。これら基本情報は、結果を分析する際のセグメンテーションや回答の背景を推察する際に役立つでしょう。

二要因理論を理解する

従業員満足度を測りたいときによく参考とされるのが、「動機付け要因(満足要因)」と「衛生要因(不満足要因)」からなる「二要因理論」です。動機付け要因(満足要因)とは従業員満足度がプラスに働くもので、責任の付与や仕事の達成感、昇進などが挙げられます。これらは従業員がやる気を持って仕事に取り組むために欠かせないものです。アンケートに動機付け要因に関する質問を盛り込むことで、企業がどれくらいポジティブな要因を従業員に提供できているかを把握できます。

一方の衛生要因(不満足要因)とは、従業員満足度がマイナスに働くものです。例えば、給与が低い、残業が多いといった不満は従業員満足度を低下させます。アンケートにはこれらの衛生要因に関する質問も含め、従業員の不満や課題を明確にしましょう。

動機付け要因の質問項目と例文

以下は、動機づけ要因の質問項目と例文です。

質問項目 例文
やりがい
  • 現在の仕事にやりがいを感じていますか?
  • 自分の意見が受け入れられ、仕事に反映されていると感じますか?
  • 自分の仕事が顧客や社会に貢献していると感じますか?
  • 成果がきちんと評価されていると感じますか?
成長実感
  • 仕事を通して新しいことを学ぶ機会がありますか?
  • 仕事を通じて成長できていると感じますか?
  • 達成感を得て、業務に意欲的に取り組むことができていますか?
  • 将来的に達成したい目標がありますか?
組織への愛着
  • この組織に誇りを持っていますか?
  • 会社のビジョンに共感していますか?
  • 長期的にこの組織で働いていきたいと思っていますか?
  • 組織の成功を自身の成功として捉えられますか?

衛生要因の質問項目と例文

以下は、衛生要因の質問項目と例文です。

質問項目 例文
業務負荷
  • 業務量は適切だと感じますか?
  • 業務に必要なツールや資源は十分に提供されていますか?
職場
  • 職場の雰囲気は良好ですか?
  • 職場でのコミュニケーションに問題はありませんか?
上司
  • 上司は適切な指示やアドバイスをくれますか?
  • 上司は業務の成果に対して適切なフィードバックをしてくれますか?
組織風土
  • 組織のビジョンは明確ですか?
  • 組織内でのコミュニケーションは良好ですか?
処遇
  • 業務内容や能力に対して給与は適切ですか?
  • 給与や賞与の計算基準は明確ですか?
福利厚生
  • 会社の福利厚生に満足していますか?
  • 福利厚生は利用しやすいですか?
会社経営
  • 経営方針に関する情報共有は適切に行われていますか?
  • 会社の実績に誇りを持っていますか?
法令遵守
  • 会社は法令や規則を遵守していますか?
  • 社内ルールのガイドラインは明確ですか?

回答における選択肢の作り方

回答における選択肢の種類は複数ありますが、従業員満足度調査とeNPS(従業員推奨度スコア)では、選択肢の設定方法が異なります。従業員満足度調査では、5から7段階の選択肢を用意するリッカートスケールが用いられるのに対して、eNPSでは11段階の選択肢が設定されます。

ここでは、それぞれの具体的な特徴について解説します。

従業員満足度

従業員満足度を測定する場合の選択肢には、「リッカートスケール」を用います。「リッカートスケール」とはある設問に対し、多段階の選択肢を用意して判定する方法です。「大変満足・満足・普通」のように選択肢を段階的に用意することで、「はい・いいえ」だけでは答えにくい設問にも回答しやすくなります。リッカートスケールを効果的に用いるためには選択肢の数が重要となり、5~7程度が望ましいとされています。選択肢が極端に少ない、多い場合は、回答の信頼性が低下するため注意が必要です。

また、選択肢の数を奇数にすることで、肯定・否定のどちらでもない中央値が生まれるため、回答者の心理的負担を軽減できるといった特徴もあります。

eNPS℠

「eNPS℠(Employee Net Promoter Score)」とは、従業員エンゲージメントを数値化した指標です。質問における従業員満足度との違いは、顧客ロイヤルティを測る指標である「NPS®(Net Promoter Score)」を基にしており、親しい知人や友人に、自分の会社で働くことをどれくらい勧めたいかを、0~10点までの11段階で回答してもらう点です。

「知人や家族にあなたの職場をどれくらい勧めたいですか」という、エンゲージメントに関わるクリティカルな質問をします。そして、回答を数値化して職場の推奨度を測ることができます。

eNPS℠は従業員エンゲージメントを測定するため、従業員満足度の測定に比べ、より従業員の本音を深堀りできるのが特徴です。さらに、業界ごとの平均スコアも公表されているため、ベンチマークとしても活用できます。

また、eNPS℠が向上することで、顧客満足度の改善やそれに伴う業績の向上、仕事へのモチベーションアップによる定着率の向上なども期待できます。

下記の資料は、従業員エンゲージメントに影響を与える要因や、eNPS℠と顧客ロイヤルティの関連についてまとめたものです。eNPS℠への理解を深められる内容ですので、ぜひお役立てください。

【関連資料】
eNPS℠業界別分析レポート

【関連記事】
事業成長に寄与するeNPS℠とは?調査方法や向上させる方法を解説

社内アンケートを成功させるためのポイント

社内アンケートを成功させるためにはいくつかのポイントがあります。以下では8つのポイントについて解説します。

本音で回答しやすいように匿名のアンケートにする

社内アンケートには「記名方式」と「匿名方式」があります。不満に感じることや人間関係についてなど、記名方式だと、質問内容によってはリスクを感じて本音で回答しづらいといったケースもあるでしょう。匿名方式にすることで、回答者の心理的安全性を確保できます。不安要素を取り除くことで、本音を引き出しやすいのが匿名式アンケートのメリットです。

匿名方式にする場合は、事前にその旨を従業員に周知しておくことも大切です。また、個人の特定を行うことはないこと、結果を閲覧できる人を限定していることなどを伝えるのも効果的です。

質問の数を増やしすぎない

社内アンケートを成功させるためには質問数の調整も重要です。質問数が多すぎると、集中力が続かず回答意欲が低下したり、回答に時間がかかり通常の業務に支障が出てしまったりする可能性もあります。一方、質問数が少なすぎると十分な情報が手に入りません。回答者の負担にならないよう、質問数は10~20程度を目安にするとよいでしょう。

適度な質問数を把握するため、社内アンケートを実施する前にプレテストを行うこともおすすめです。また、どうしても質問数が多くなりそうな場合は、質問を複数ページに分散させるなどの工夫も必要でしょう。

質問の順番に注意する

精度の高い回答を得るためには、質問の順番も意識しましょう。特に、前半の質問でバイアスがかかり、後半の質問をフラットに答えられなくなるケースもあるので注意が必要です。

例えば、「在宅勤務制度についてどう思いますか?」という質問があり、そのあとに「働く環境についてどう思いますか?」という質問があったとしましょう。この場合、回答者は無意識のうちに、在宅勤務制度がある環境と比較し、後者の質問にネガティブな回答をしてしまう可能性があります。

すべての質問に対して相互に影響が出ないようアンケートを設計することは難しいため、回答者の心理を考慮してテンプレートなどを活用する、社内アンケートをサポートしてくれるツールやサービスの利用をするなども検討してみましょう。

自由記述式の項目を設ける

社内アンケートには選択式だけでなく、自由記述式の質問も設けましょう。自由記述式の質問には、回答者の心理を引き出しやすい、アンケート作成者の意図を超えた情報が引き出されるなどのメリットがあります。ただし一方で、回答者の負担が大きい、データの取り扱いに時間がかかる、分析者のスキルが必要などのデメリットもあります。

そのため、深堀したい内容や特に重要な内容のみを自由記述式にすることをおすすめします。自由記述式を前半に設置しすぎると回答者が面倒に感じる恐れがあるため、適度に拡散したり、後半に固めたりなど工夫が必要です。

回答を誘導する質問はしない

社内アンケートでは、回答を誘導する質問はしないよう気をつけましょう。回答を誘導するような意図を感じる質問をすると、従業員の本音を引き出せない可能性があります。例えば、「我が社では賞与について〇〇と考えていますが、この意見に賛成ですか?」といった質問の場合、会社に反対する意見を出しにくいことから、「賛成」とする回答者が多くなることが予想されます。

また、選択肢を設計する際にも偏りがなく、回答者が意見を率直に伝えられるような工夫が必要です。社内アンケートは従業員の声を拾い上げることを目的に実施するため、あくまで中立的な立場で質問内容を検討することが大切です。

回答者が圧力を感じる質問は避ける

社内アンケートの質問に従業員が圧力を感じると、本音を引き出すことが難しくなります。特に、直属の上司に対するフィードバックや会社の方針への不満を尋ねる質問は、キャリアへの影響を恐れて正直に回答しづらいでしょう。例えば、「上司に改善してもらいたい点はありますか?」といった質問の場合、回答が上司の目に止まる可能性も考え、正直に回答しにくいものです。

従業員の本音を把握できないのであれば、アンケートを実施する意味がありません。社内アンケートは回答者が圧力を感じることなく、自由に回答できる設計にしましょう。

従業員に改善施策と結果を共有する

社内アンケートが終了したら、集計結果や改善施策の内容を従業員に伝えることが大切です。アンケートを実施するだけでは意味を感じられず、「アンケートに回答しても何も変わらなかった」という不満点が残れば、次回実施したときの回答率や精度に悪影響を及ぼす恐れがあります。アンケートが具体的な行動や職場環境の変化につながっていることを従業員に実感してもらうことが必要です。

適切な分析を行う

社内アンケートは結果を適切に分析し、改善施策につなげることが大切です。不適切な分析を行うと見当ハズレの施策となり、従業員の不満がさらに高まってしまう恐れがあります。基本的な単純集計やクロス集計、その他の目的に適した分析方法を選択できるスキルを持つ人材がいるのか、リソースは足りているのかなどを調査しましょう。

人材やリソースが足りていない場合は、人材の採用や社内教育を実施し、適切な分析ができる環境整備を行います。また、社内で対応が難しい場合は、外部のサービスを利用するほうが高い効果を期待できます。

【関連記事】
アンケートに有効な5つの分析方法|集計~分析の流れや効果を高めるコツ

社内アンケートを実施する方法

ここでは、社内アンケートを実施する方法を紹介します。

自社でアンケートの設計・集計・分析を実施する

自社でアンケートを行う場合、紙でアンケートを実施する方法と、Webでアンケートを実施する方法があります。紙でアンケートを行うと、印刷や配布、集計などに多くのリソースが必要になります。例えば、アンケート結果を手動でパソコンなどに入力する場合、手間と時間がかかるうえ、入力ミスを起こす恐れもあるでしょう。ミスがないか確認するために、さらに時間がかかるケースもあります。

一方、Webアンケートは、配布、集計ともに手間がかからず効率的です。また、デジタルデータのほうが分析にも移行しやすいでしょう。ただし、どちらの方法もアンケートの設計や結果の分析に専門的なスキルが必要になります。

社内アンケートを実施するツールを活用する

より効率的に社内アンケートを実施したいのであれば、ツールの活用もおすすめです。社内アンケートツールを利用することで、業務効率の向上が期待できます。アンケートの作成から集計、分析までオンラインで完結するため手間がかからず、コストの削減にもつながるでしょう。また、ツールの活用によって分析精度も向上します。例えば、アンケートツールには入力内容を確認する機能がついており、必須項目に回答漏れがあればエラー表示してくれるものもあります。

また、回答者側にとってもパソコンを使って好きなタイミングで回答できるため、負担の軽減につながる点もメリットです。

社内アンケートの効果を高めるNTTコム オンラインのリサーチサービス

リサーチサービスの「ES-Quick」は、従業員満足度やeNPS℠をもとにした従業員満足度調査の実施とレポート作成までができるサービスです。調査の実施に必要な調査設計やアンケート運用支援、分析、レポートをパッケージ化して提供します。アンケートの質問項目はあらかじめ用意された質問項目から選ぶことができます。この質問項目は従業員満足度調査に欠かせない基本設問をあらかじめ網羅しているため、設計の手間がかからない点が魅力です(オリジナル設問の追加も可能です)。

調査結果はグラフで可視化されるためわかりやすく、改善点へのアクションを明確化できます。また、フリーアンサーデータ(自由記入欄)により、問題点の真の要因はどこにあったのかを追求することも可能です。

さらに詳しく調査したい企業様向けに、業界内での自社のポジショニングを確認できる「eNPS℠ベンチマーク調査」や、調査や分析のサポート、コンサルティングを行う「eNPS℠調査分析・コンサルティング」を提供しておりますので、ぜひご活用ください。

導入事例:製造業 様

ES-Quickを導入以前、製造業様は以下のような課題をお持ちでした。

  • 社員像を把握するためにアンケートを実施したいが、効果的なアンケート結果が集まらない
  • 社員の離職率を下げるため、どのような不満点が離職につながっているのかを知りたい

導入後は、以下のような効果を実感されています。

  • より良いパフォーマンスが出せるよう個人の意識が変わったことにより、チーム単位での業績も向上した
  • 優先すべき改善点が把握できて改善が行われたため、個人のモチベーションがアップした
  • 定期的なアンケートの実施により業務改善のPDCAが確立し、離職率の低下や業績向上につながった

社内アンケートは課題の抽出・改善に寄与する

社内アンケートの実施によって従業員の不満を拾い上げ、現状の問題点を改善することができます。また、社内アンケートはレピュテーションリスクの防止や従業員満足の向上、ひいては業務改善による顧客満足度の向上にもつながる重要な施策です。

「ES-Quick」は社内アンケート実施の煩雑な手間を省き、より効率的にアンケートの分析結果を得られるツールです。Webアンケートにより回答者の負担も減るため、回答率の向上も期待できます。従業員満足度だけなく、従業員エンゲージメントを測定可能なES-Quickの導入をぜひご検討ください。

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