
更新日:2025/04/03(公開日:2022/11/02)
カスタマーロイヤルティxビジネス
CX(顧客体験)調査に役立つ17の指標(KPI)を解説|改善の手順も紹介
CX(顧客体験)の向上は、企業にとって重要な課題です。しかし、どの指標を追跡し、改善につなげるべきかを明確にすることは容易ではないと感じる企業のご担当者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、CX調査に役立つ17の主要な指標(KPI)を紹介し、それぞれの特徴や活用方法を解説します。また、これらの指標を基にした効果的な改善手順も合わせて紹介します。CXを向上させるための具体的なアプローチを理解し、実践に活かすための参考にしてください。
- KPIを活用してCXを可視化することで、改善策の立案、実行、評価を適切に行うことができる
- CXの向上には、カスタマーサービスの品質も重要
- KPIを活用してCXを改善するためには、カスタマージャーニーマップの作成や質問の準備、調査・回答結果の分析、課題の発見と改善策の立案・実行などの手順が有効
CX(顧客体験)の概要と指標(KPI)の重要性
CXはカスタマーエクスペリエンス(Customer experience)の略で、顧客体験や顧客体験価値などの意味があります。顧客のサービス利用や商品購入に関するさまざまな体験を示し、情報収集やアフターサービスなど、企業との全ての接点が含まれる言葉です。
CXと混同されやすい言葉にCS(顧客満足度、Customer Satisfaction)があります。顧客の体験すべてを含めるCXに対し、CSは細分化されたサービスに対する満足度を指します。たとえば、接客への満足度、商品への満足度などですが、CSはCXの計測に活用できる1つの指標と考えられるでしょう。
CX計測においては多くの部門・部署で同じ目標を持ち、計測や結果の統合、判断をすることが求められるものの、各部門・部署で指標が異なるため調査が難しいという問題があります。それぞれにおいて適切な指標、基準の設定や、統合的にCXを計測できる指標を取り入れることが重要です。
いずれにしても複数の指標を用いてCXを可視化することで、適切な改善策の立案・実行・評価につながるため、導入の価値は十分にあると考えられます。
CX(顧客体験)のさらに詳しい概要はこちら
企業成長を導く「顧客体験(CX)」その重要性と向上させる方法とは
CX計測に役立つ17の指標(KPI)
ここからは具体的に、CX計測をするために必要な顧客満足度やNPS®、リテンションレート、サイトのアクセス解析など17つの指標について、詳しく説明していきます。
満足度・ロイヤルティに関連する指標
ここでは、満足度・ロイヤルティに関する以下4つの指標を紹介します。
- 顧客満足度(CS)
- NPS®(ネットプロモータースコア)
- eNPS℠(エンプロイーネットプロモータースコア)
- CES(顧客努力指標)
1|顧客満足度(CS)
CSとは製品やサービスに対する顧客の満足度を計測するための指標です。具体的な調査項目は自社の事業内容に合わせて設定します。
CSを計測することにより、製品・サービスを使用した顧客の反応が分かり、自社の問題点が見えてきます。判明した問題点を改善することで、リピーターやファンを獲得することが可能です。調査方法としてはアンケートが一般的で、自社のホームページなどで回答してもらう方法があります。また、郵送や電話、座談会形式などでも調査はできます。
調査ではターゲットを明確にするのも大切です。アンケートの目的を明確にした後、調査したい対象の属性を決定しましょう。また「〇〇の商品に満足しましたか?」という数値化しやすい質問だけではなく、自由記述で意見を寄せてもらうとより具体的に顧客の声を把握できるうえ、定性的な分析にも有用です。
調査は自社内で行うほか、調査会社や第三者機関に依頼する手もあります。
顧客満足度(CS)のさらに詳しい情報はこちら
顧客満足度とは?向上させる目的、注意点を徹底解説
2|NPS®(ネットプロモータースコア)
NPS®(Net Promoter Score)では、商品・サービスに対する顧客満足度だけではなく、周囲の友人や家族、同僚などにすすめたいかどうかを計測します。
Webサイトやメール、SMSなどのオンラインや、店頭などのオフラインを通じてアンケートを実施し、商品やサービスをすすめたいかどうかを0から10の11段階で回答してもらいます。推奨者である9、10をつけた人の比率から、批判的であった0~6の比率を引きます。7、8は中立な意見のため値は0です。推奨者が20%、批判者が60%であれば、スコアは-40です。
製品やサービスに対する総合的な顧客の認識がわかるほか、業界ごとのベンチマークも明確なため、CXの計測にとても有効な指標だと言えます。
NPS®(ネットプロモータースコア)のさらに詳しい情報はこちら
第2回 顧客ロイヤルティを測る新指標「NPS」とは?~究極の質問の発見とその本質~
3|eNPS℠(エンプロイーネットプロモータースコア)
顧客の意見だけではなく、従業員が自社に対して持っている愛着度を調べるのも、CX向上に役立ちます。その愛着度を示す指標がeNPS℠(Employee Net Promoter Score)です。
ES(従業員満足度、Employee Satisfaction)というものもありますが、eNPS℠のほうが従業員の会社へのエンゲージメントがより正確に調べられるとされています。ESでは「職場にどのくらい満足していますか」というような質問になる一方、eNPS℠では「自社への就職を友人や家族にどの程度、すすめるか」などの質問になり、従業員は回答する際、より深く考えるようになります。
従業員の会社へのエンゲージメントが高ければ、サービスや商品における質の向上につながり、CXも高くなる要因となるでしょう。
4|CES(顧客努力指標)
CESはカスタマーエフォートスコア(Customer Effort Score)の頭文字をとったもので、顧客努力指標などと呼ばれています。企業とのやり取りやサービスの利用、商品購入までに、顧客がどの程度の労力を要したかを測定します。
多くの労力が必要だった場合は顧客のロイヤルティが下がり、労力が少なければ上がると考えられます。リピーターになってもらうためには、認知から購入、サポートにいたるすべての過程で労力を感じさせないことが重要です。
調査方法としては顧客に対して「問題処理の対応がスムーズだった」などの質問をし、まったく負担を感じない(1)から非常に負担を感じた(7)までの7段階評価で回答してもらいます。すべての質問項目の回答をまとめ平均値を割り出したものがCESスコアです。
顧客の維持・価値に関連する指標
続いて、顧客の維持・価値に関する以下3つの指標を紹介します。
- リテンションレート(顧客維持率)
- チャーンレート(解約率)
- LTV(顧客生涯価値)
5|リテンションレート(顧客維持率)
リテンションレート(Retention rate)とは、新規ユーザーが一定期間の内にWebサイトやWeb上のサービス、アプリなどに再訪した割合を示す指標です。定着率や継続率とも表現されます。
既存顧客とのエンゲージメントをより強くするために活用され、Webサービスやアプリを事業としている場合はとくに効力を発揮する指標です。フリマアプリの「メルカリ」もリテンションレートをCX向上における重要な指標に位置づけています。
リテンションレートは定めた期間中の継続顧客数から新規顧客数を割ることで算出できます。50日の調査期間中に利用した新規ユーザーが1000人、既存ユーザーが500人であれば、リテンションレートは50%です。
サブスクリプションサービスが増加する中、長期的な関係構築が重要となっているため、リテンションレートは重要な指標と言えるでしょう。
リテンションに関する詳しい情報はこちら
第6回 『顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)』と『リテンション』を考える
6|チャーンレート(解約率)
チャーンレート(解約率)とは、既存顧客が契約を解約した割合のことです。チャーンレートから、顧客が自社製品やサービスを利用しなくなった理由を特定できます。
昨今、SaaSやサブスクリプションサービスの成長に伴い、チャーンレートの分析はますます重要性が増しているといえるでしょう。解約原因の把握と改善策の実施により、サービス向上や競合との差別化が可能になります。以下は、チャーンレートの計算方法です。
チャーンレート(%)=「一定期間に失った顧客数 ÷ 既存顧客数 × 100」
たとえば、月初の顧客数が500人で、月末の顧客数が300人だったとしましょう。この場合のチャーンレートの計算式は次のようになります。
300(月末の顧客数) ÷ 500 (月初の顧客数)× 100 =60(%)
解約の原因を分析したうえで仮説を立て、施策の実行、効果測定を行い、改善を進めましょう。
7|LTV(顧客生涯価値)
LTVはライフタイムバリュー(Life Time Value)の略で、顧客が取引期間を通じて企業にもたらす価値を意味しています。「購入時」などの短い時間ではなく、取引開始から終了までのトータルした時間における価値を示すマーケティング指標です。顧客満足度と異なり、収益との関連性が明確です。
LTVは既存顧客との関係性を測定できるため、CXにおいても重要な指標となります。
LTVは以下の公式で割り出されます。
平均購入単価×平均購買頻度×平均継続期間
調べる方法としては、アンケート調査などもありますが、オンライン上で手に入るツールを活用する方法もあります。
サブスクリプションサービスや定期購入など、継続的に顧客と関わる事業に適した調査方法です。
LTVの高いロイヤルカスタマーに関する情報はこちら
ロイヤルカスタマーは重要な戦略ターゲット。増やす方法は?
Webサイト・アプリの分析に関連する指標
ここでは、Webサイトの行動分析に関連する以下3つの指標を紹介します。
- 平均ページビュー・コンバージョン率・直帰率
- カート放棄率
- ダイレクトトラフィック
8|平均ページビュー・コンバージョン率・直帰率
Googleアナリティクスなどを使い、自社のWebサイトやネットショップを訪れたユーザーについて解析する方法です。平均ページビュー(平均PV)やコンバージョン率(CVR)、直帰率などを調査します。各指標の意味は以下の通りです。
- 平均ページビュー(平均PV):ユーザーが1度の訪問で閲覧したページ数の平均
- コンバージョン率(CVR):サイトを訪問したユーザーが資料請求や商品購入などのボタンを押し、一定の成果があった割合
- 直帰率:最初のページのみで離脱したセッションの割合
上記の指標やユーザー属性などを解析することで、ユーザーが何に興味を持ち、どのようなサービス・商品にひかれるのかがわかります。また、流入経路別に計測することで、各チャネルにおいて的確な仮説を立てられるでしょう。
アクセス解析ではただ数字を追うのではなく、数字をもとに課題を見つけて仮説を立て、改善のプランを実行することを繰り返していくことが重要です。
9|カート放棄率
ECサイトなどにおけるカート放棄率とは、ユーザーが商品をカートに入れた後、購入手続きに進まず離脱する割合です。米国Baymard Institute社の調査によると、ECサイトのカート放棄率は、「平均70.19%」であることがわかりました。
カート放棄につながる原因には、送料や手数料の高さ、アカウント作成の手間、セキュリティの不安、配達の遅さなど、さまざまな要因があります。カート放棄につながる原因を特定し改善することで、顧客体験や売上の向上につながるでしょう。
出典|49 Cart Abandonment Rate Statistics 2025
10|ダイレクトトラフィック
ダイレクトトラフィックとは、検索エンジンや外部リンクを経由せず、ユーザーが直接ウェブサイトのURLをブラウザに入力してアクセスするトラフィックのことです。
ユーザーが意図的にサイトを訪れていることを示すため、ウェブサイトのオーナーにとって非常に価値がある指標といえます。ダイレクトトラフィックの増加は、顧客のロイヤルティ向上やブランド認知度の強化を意味します。
ダイレクトトラックを増やすには、Webサイトの認知向上や価値のあるコンテンツの提供などが効果的です。
カスタマーサポート・カスタマーサクセスに関連する指標
ここでは、カスタマーサポート・カスタマーサクセスに関連する以下3つの指標を紹介します。
- 応答率・解決率
- 応答時間・解決時間の平均
- オンボーディング完了率
11|応答率・解決率
カスタマーサポートにおいて顧客からの問合せに対し、問題を解決できた割合も指標の一つです。
解決率には以下の3種類があります。
- 問題解決率
- ワンコール解決率
- 一次解決率
「問題解決率」は商品やサービスに対する顧客の疑問を解決できた割合のことで、回数や方法については問いません。「ワンコール解決率」は他部署への転送やコールバックなども含め、1案件のなかで解決できた割合です。そして「一次解決率」は、1回のコンタクトだけで解決できた割合となります。
12|応答時間・解決時間の平均
顧客からの問い合わせに対し、応答までに要する時間や問題解決までにかかる時間も重要な指標となります。
J.Dパワージャパンが2022年に行った調査によると、電話や有人チャットに対する応答時間が3分を超えると、顧客の満足度が大きく低下する傾向があることがわかりました。
平均解決時間については、問題解決のスピードに加え、正確さも重要です。いずれかが期待値を下回ると、顧客の満足度が低下してしまいます。
解決率だけでは顧客の満足度を測るには不十分な場合もあります。顧客が相談してから問題が解決するまでの「平均解決時間」や、電話をかけてからオペレーターにつながるまでの「平均応答時間」の調査もあわせて行ってみてください。
出典|コールセンター・有人チャットで待ち時間が増加し、満足度は低下
13|オンボーディング完了率
オンボーディングとは、サービスや商品を利用し始めたユーザーが、使い方や機能に早く慣れるようサポートする施策です。サービスの理解不足から起こる解約を防ぎ、ユーザーに継続的に利用してもらうことを目的に行います。
特に、継続的な利用が重要となるSaaSでは、早期にユーザーを定着させることが重要です。オンボーディング完了率が低いことは適切なオンボーディングを提供できていないことを示し、解約率の上昇につながる可能性があります。
オンボーディングを重視してユーザーのストレスを減らし、解約を防ぐことで、安定した収益を期待できるでしょう。
口コミに関連する指標
続いて、口コミに関する以下2つの指標を紹介します。
- SNSでの口コミ
- 商品の紹介サイト・自社ECサイトでの口コミ
14|SNSでの口コミ
SNS上で、自社の商品・サービスに関する口コミ情報を収集するソーシャルリスニングと呼ばれる手法で調査します。
X (旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNS上では、さまざまな商品・サービスに関する声が見られます。市場調査や自社製品のブランド調査、キャンペーンへの反響測定などに活用できるほか、他社と比較することで、自社サービスの強みやシェアの比較、改善点などの調査が可能です。
自社の商品・サービスへのネガティブな口コミを集めその要因を分析したり、エンゲージメントの高い競合のキャンペーンを分析したりすることで、自社のマーケティング施策に活用できます。
調査には無料や有料で利用できる専用のツールを使うのがおすすめです。計測したいキーワードを指定すると、発信者の傾向をデータ化してくれるなど、効率良く調査ができます。
ソーシャルリスニングについてはこちら
ソーシャルリスニングとは?その仕組みやメリットなどを解説
15|商品の紹介サイト・自社ECサイトでの口コミ
商品の紹介サイトや自社ECサイトでの口コミでは、実際に商品やサービスを利用した顧客の率直な口コミを確認できます。サイトによっては、外見や利便性、機能性など、項目ごとの細かいレビューも収集可能です。
拡散力はSNSに劣りますが、紹介サイトや自社ECサイトのほうが、情報の信頼性や詳細度が高いといえます。
マーケティング効果に関連する指標
ここでは、マーケティング効果に関連する以下2つの指標を見ていきましょう。
- キャンペーンの投資収益率(ROI)
- ブランド認知度
16|キャンペーンの投資収益率(ROI)
投資収益率(ROI)とは、投資に対する利益の割合を示す指標です。投資の成果を数値化することで他の投資案件と比較でき、将来の投資への判断材料として役立てることができます。具体的な計算式は、以下の通りです。
ROI=利益÷投資額×100
投資収益率を計測することにより投資効果を把握できるほか、リソース配分の最適化やデータに基づいた意思決定ができるのも特徴です。
投資収益率が高いほど効果的なキャンペーンを実施できており、優れたCXを提供できていることになります。
17|ブランド認知度
ブランド認知度とは、ブランドがどれだけユーザーに知られているかを示す指標です。認知度が高まると、ユーザーはブランドに対し信頼感を抱き、より多くの成果につながるメリットがあります。
また、ブランド認知度が高いことは、無形資産の集合体であるブランド・エクイティが高いことを示します。ブランドの特徴や強みを多くの人に理解してもらうことで、顧客満足度向上やファン・リピーターの増加にもつながるでしょう。
なお、ブランド認知度の調査には、街頭調査や郵送調査、ネットリサーチなどが活用されます。
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ブランドエクイティの意味とは?高めるメリットや測定方法・企業事例を解説
CX向上にはカスタマーサービスの品質が重要
CXを構成する要素はさまざまですが、なかでもカスタマーサービスが左右する比率は大きいとされています。
とくに最近は対面販売ではなく、ネット上のやり取りでサービスや商品を提供することが多く、さらには扱いが複雑な商品が増えていることから、カスタマーサポートの重要性が高まっています。
米Zendeskによる「カスタマーエクスペリエンス(CX)に関する年次トレンドレポート(2022年版)」では、「カスタマーサービスをパーソナライズしている企業から、より多くの購入をしたい」との回答が79%、「消費者が望む方法でカスタマーサービスを利用できる企業から、より多くの購入をしたい」との回答が80%を占めています。一方、54%の消費者は「カスタマーサービスが後回しにされていると感じている」と回答しています。
KPIを活用しカスタマーサービスの品質改善に力を入れることが、CXの向上につながっていくことでしょう。
指標(KPI)を活用してCXを改善する手順
前述した指標を併用することでCX改善への精度を高められますが、なかでもNPS®を用いたアンケート調査がもっとも効果的だと言われています。顧客の声を参考にすることで、より正確に自社の商品やサービスを取り巻く状況を把握できるようになります。そこで、NPS®の計測手順やCX改善に活用する方法を具体的に紹介します。一度に多くの調査は難しい場合、まずはNPS®から着手するのがおすすめです。
カスタマージャーニーマップの作成と質問の準備
課題に関する仮説を立てるためには、カスタマージャーニーマップの作成が有効です。
カスタマージャーニーとは、顧客が商品購入やサービス利用にいたるまでのプロセスを時系列でまとめたものです。認知、情報収集、来店などのタッチポイントごとに、顧客の行動、思考、課題などを記していきます。たとえば認知段階における顧客の行動は「企業のSNSを見た」「テレビCMを見た」などです。
タッチポイントやショートタームジャーニーごとに仮説を立て、関係部門間、役職間で共有しながら適切な質問内容を設定し、アンケートを実施します。
NPS®のアンケートは「製品をどの程度ほかの人にすすめたいと思いますか?」という設問に加え、フリーコメント欄を用意して定性分析を行えるようにすることが重要です。そのほかには、評価ポイントや顧客のプロフィールに関する質問を加えても良いでしょう。
調査・回答結果の分析
NPS®の分析には「定性分析」「定量分析」の2つを活用します。
定性分析は数値に表しにくいものを分析する方法です。フリーコメント欄の回答をトピックごとに分類した後、ポジティブ・ネガティブに分けて課題を分析していきます。
定量分析は数値データによって分析する方法です。アンケートで聞いた各要素の満足度と推奨度との相関係数を表す「アクションドライバーチャート」を活用します。
ドライバーチャートでは調査・回答の結果を、以下の4つの部屋に分類してください。また、上方向は推奨度との相関関係を示し、右方向は各要素における満足度との相関を示します。
優先改善項目 (満足度は低め、推奨度への影響度が大きい) |
重点維持項目 (満足度が高い、推奨度への影響度が大きい) |
注意観察項目 (満足度は低め、推奨度への影響度は小さめ) |
基本維持項目 (満足度は高い、推奨度への影響度は小さめ) |
優先度は重点維持項目がもっとも高く、注意観察項目は低めとなります。この分類では顧客ロイヤルティを高めるために有効なアクションの順位がわかります。
定性分析と定量分析は相互補完関係にあるため、それぞれを活用することで適切な改善案の立案が可能です。
課題の発見と改善策の立案・実行
調査結果の分析により、改善ポイントや優先度が明らかになったら、改善策の立案と実行を行います。改善策を立てる際には顧客視点を忘れず、仮説に基づいて立案することが重要です。
改善策を実行に移すには、すぐにできるものとできないものがあります。そこで、「すぐにできるもの」「すぐにやらなくてはいけないこと」「急がなくてもいいが、重要度の高いもの」「重要度の低いもの」などに分類し、短期的・中長期的にわけて施策実行の計画を立てるのが成功のポイントです。
すぐにスコアが向上するとは限りません。実行の結果を分析しつつ、PDCAサイクルを迅速に回していきましょう。
CXの指標となるNPS®の活用にはNTTコム オンラインの「NPS®ソリューション」
ここでは、NPS®の導入・活用をサポートするNTTコム オンラインのNPS®ソリューションを紹介します。
NPS®の導入・活用を専門家がサポートする「NPS®調査・コンサルティング」
NTTコム オンラインの「NPS®調査・コンサルティング」では、NPS®認定資格を持つ専門家が、NPS®の導入から活用、部門拡大に至るまで、各フェーズで適切なサポートを提供します。NPS®調査には以下の2種類があります。
- NPS®ベンチマーク調査
競合と比較して自社の市場における立ち位置を評価します。自社と競合他社のNPS®スコアを比較することで、改善すべき重点項目を特定できます。 - NPS®アセスメント調査(自社調査)
自社におけるNPS®の有効性を分析し、推奨者と批判者の経済的影響を評価します。また、購買額や口コミといった重要指標との関連を調査し、顧客ロイヤルティを高める要因や改善すべき分野を明確にしたアクションプランの支援を行います。
さらに、ブランドロイヤルティ調査では、以下の4つの要素に基づく「クオリティポリシー」を重視し、品質を確保しています。
- モニターの品質
- 調査票の品質
- アンケートシステムの品質
- 回答結果の品質
これらにより、企業は自社の現状と課題を把握し、効果的なアクションを取ることができます。また、新規顧客獲得やブランドの認知度向上に役立つ戦略を立てることも可能です。
NPS®の調査・管理を効率化する「NPS®分析・顧客体験管理ツール」
クアルトリクスは、顧客や従業員の体験を統合的に管理・分析し、体験の改善に向けた提案を行うデジタルプラットフォームです。
感情データや背景データを組み合わせることで、より深い顧客理解を得ることができます。また、AIを活用したシンプルなプラットフォームにより、各部門の業務を一元化し、全社的なCX向上プログラムの実施を支援します。
カスタマージャーニーを把握して適切なタイミングで顧客の不満を解消する、コンタクトセンターやオムニチャネルのデータ分析を通じて、不満や満足の原因を明確に特定できるなどもクアルトリクスの特徴です。
NPS®ツール導入事例|クラブツーリズム株式会社 様
クラブツーリズム株式会社様は、特に60代~70代のシニア層をターゲットにしたパッケージ旅行を多く提供している企業です。
同社の顧客満足度は年々向上していたものの、リピート率はそれに比例していないといった状況でした。また、ブランドNPS®調査を実施したものの、分かりやすい結果を得られないという課題もあったことから、NPS®ツールを導入しました。
導入後、推奨意向がリピート率と強い相関があることが判明。また、トランザクショナル調査により、重要度と満足度のギャップが大きい項目が明確になりました。さらに、ツールのダッシュボード機能は、データの見せ方や伝え方がわかりやすく、現場での意思決定に役立っていると満足しています。
指標(KPI)を活用することで適切にCXを改善できる
KPIを活用することでCXの改善に向けた具体的な指標が得られ、成果を測定しやすくなります。これにより、効果的な戦略を導き出し、顧客満足度の向上にも期待できます。
これからのビジネスではCXの改善が常に求められます。そしてCXを改善するために使われる指標(KPI)には顧客満足度やNPS®などがあり、自社にあった方法で改善策を実行することが大切です。とくに顧客ロイヤルティを測るNPS®について採用したいところですが、実施するには時間がかかるなどの難点があります。そこでNPS®ソリューションを使用することで、的確で効率の良いNPS®の調査分析が可能となるでしょう。
NTTコム オンラインでは、NPS®の本格導入に向けた検討を支援する「NPS®調査」や、NPS®プログラムの設計から施策実行までをサポートする「NPS®コンサルティング」サービスを提供しています。公認資格を持つコンサルタントがお悩みにお答えする無料相談も実施していますので、ぜひご活用ください。
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