2022/11/01

カスタマーロイヤルティxビジネス

ファンマーケティングとは?手法や得られる効果・成功事例を解説

インターネットショッピングや通信販売の普及、発展などにより消費者の購買行動が急速に変化している現代。TVや新聞広告などのマスメディアを中心としたアプローチで新規顧客を開拓していた時代とは違い、ソーシャルメディアやSNSを活用したファンマーケティングによって既存顧客と長期的な関係を維持することが事業成長のカギとなっています。この記事では、企業・ブランド・商品・サービスに対して愛着を持つ熱狂的なファンを育み、中長期的な売上の向上を目指すファンマーケティングについて解説していきます。

ファンマーケティングとは?熱狂的なファン獲得に有効な戦略

ファンマーケティングとは、ある商品・サービスやそれを提供する企業・ブランドに対して強い愛着を持つファンを増やし、中長期的な売り上げの向上を図るマーケティング手法です。従来のマーケティング手法ではクーポン配付やキャンペーン案内、もしくは広告の活用をメインとし、企業側から顧客へ一方向の情報発信に偏っていました。

一方、ファンマーケティングではファンミーティングやSNSなど、複数のタッチポイントを設けることで企業側と顧客双方向のコミュニケーション、さらには顧客同士のコミュニケーションを図ります。その結果、顧客のポジティブな口コミが拡大して商品・サービスへの認知度やリピート率が向上し、強固な愛着を持つファンが増加します。これにより売上の長期的な安定化が期待できます。

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ファンマーケティングが企業に注目されている理由

そもそもファンマーケティングが現在注目されているのはなぜでしょう。その背景として挙げられるのが、国内の人口減少、企業間の競争激化です。日本は2008年以降人口が減り続けているため国内市場そのものが縮小傾向にあります。加えて各産業においては成長期を超えた成熟市場が多く、ますます企業同士の競争は激化しています。そのため単に商品スペックやサービス内容だけで新規顧客を獲得することが難しくなっているのです。

さらに近年ではソーシャルメディアやSNSが急速に発展・普及。消費者は他の消費者の口コミやレビューを参考にして購買行動を取るようになりました。当然、企業側としては顧客にポジティブな情報発信をしてもらう必要があります。そこで顧客との関係を強固にしてロイヤルカスタマーの育成を促すファンマーケティングが注目されるようになったのです。

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ファンマーケティングに効果的な手法

ここではファンマーケティングの中でも効果的とされる3つの手法「ファンミーティング」「ファンコミュニティ」「SNSでの交流」を紹介します。まず「ファンミーティング」ですが、これは企業と顧客が直接交流する手法で、顧客を招待することで生まれる特別感を提供してより強固な信頼関係を築くことを目指しています。

次に「ファンコミュニティ」とはファン同士が交流する場を提供すること。同じ傾向性を持った人々が情報や意見を交換することでブランドへの帰属意識がより高まります。そして「SNSでの交流」は、企業の公式アカウントを通じて顧客と交流する手法。質問への返答やフォローアップなど、双方向のやりとりにより顧客と親密な関係を築くことで自然に企業の信頼性が高まります。このようにファンマーケティングには複数の手法があるため、各企業が自社のブランド・商品・サービスの特性を考慮して適切な手法を選択して取り入れることが重要です。

ファンマーケティングにより得られる効果

ファンマーティングを実施することで期待される効果は、一言で言えば「企業・ブランド・商品・サービスに対して愛着を持つ熱狂的なファンを育み、中長期的な売上向上を促すこと」です。ここからはそんなファンマーケティングの効果についてより詳細に解説していきます。

顧客ロイヤルティが高まりLTVが向上する

新規顧客の獲得が困難な近年、既存顧客をファンへと育み、リピート率を向上させる重要性が増しています。会社経営における法則の1つ「1:5の法則」でも「新規顧客の獲得は既存顧客の5倍ものコストがかかる」と言われているように、既存顧客にアプローチする方がはるかにコストパフォーマンスが高いのです。

ファンマーケティングが成功して顧客ロイヤルティ(顧客の愛着や信頼)が高まれば自ずと定期購入も増えてLTV(顧客生涯価値)が向上します。さらに既存顧客がファン化する際には、商品・サービスだけではなくブランドや企業にも愛着を抱く傾向があるため、他社との差別化が効率的に実現して安定した売上基盤を構築しやすくなります。

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口コミの拡散により新規顧客獲得が容易になる

熱狂的なファンは商品・サービスを利用した感想をインターネット上に書き込んだり、企業・ブランドの魅力をソーシャルメディアやSNSで発信したりと積極的に活動する傾向があります。また、現代の消費者の多くは商品購入を決定する前に口コミサイトやブログ、SNSで評判を事前にチェックすることを習慣としています。企業側が発信する一方的なプロモーションよりも商品を実際に利用した人のリアルな感想の方が信頼性が高いと見なされるため、ファンが発信する口コミは効率的な新規顧客獲得につながります。

特にそのファンが友人や家族など親しい人であればなおさらです。こうしてファン自身が広告・メディアと同様の役割を果たしてくれるため企業側にとっては経費削減にもつながります。

ユーザーニーズを把握しやすくなる

企業・ブランドのファンになった顧客は、企業・ブランドを信頼して商品・サービスに関する忌憚のない意見や率直な感想を伝えてくれる貴重な存在です。そんなファンからの意見を集めることで、ユーザーが満足している部分、不満を感じている部分、改善を望んでいる点など、リアルで詳細なユーザーニーズを把握できます。

特にヘビーユーザーや熱狂的なファンは企業側が考えつかないようなオリジナルの視点から有益なフィードバックをしてくれることも少なくありません。既存顧客と交流してファンを育むことで消費者の多様なニーズを把握することが可能になり、その知見を新商品の開発やサービスのブラッシュアップに活かすことができます。

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ファンマーケティング3つの成功事例

既に国内外の多くの企業がファンマーケティングを採用しており、中にはSNS活用やファンコミュニティの運営といった施策によって大きな実績を出している企業もあります。そこでここでは有名企業3社によるファンマーケティングの成功事例を紹介します。

1|スターバックス(BtoC)

世界中に店舗を展開し、多くのファンを持つスターバックスコーヒー。テレビCMやチラシなどの広告にほとんどコストをかけず、SNSを有効活用したファンマーケティングをメインとしています。主な施策内容はFacebook、X (旧Twitter)、Instagramで新商品やキャンペーンの情報を積極的に発信して来店を促すことで新たな顧客を獲得するというもの。2013年にFacebookで過去最高の投稿リーチ率を叩き出したり、X (旧Twitter)のリツイート拡散で新商品が話題となり、発売初日の売り上げが予測の2〜3倍になったこともありました。スターバックスのSNS活用は大きな宣伝効果をもたらしており、その成果もテレビCM以上と言えるでしょう。

2|カゴメ(BtoC)

2013年頃に主力ブランドの「野菜生活」を中心とした飲料の売上が伸び悩んでいたカゴメ。その理由を探って市場の分析を行ったところ、わずか2.5%のヘビーユーザーによる購入が売上の30%を占めていることが分かりました。そのデータから「ヘビーユーザーの離脱が伸び悩みの原因」と見て、既存のコアな顧客にカゴメの商品を長く利用してもらうための施策強化に踏み切るようになりました。

その代表的な施策が2015年に立ち上げた「&KAGOME(アンドカゴメ)」というファンコミュニティサイト。「ファンを知る」「ファンに伝える」「ファンと一緒に体験する」の3つを大きな目的にし、実際に同サイトで収集した意見をもとに商品開発などを行っており、会員数4.9万人(21年9月時点)と大きく成長しています。

3|AWS株式会社(BtoB)

AWS(Amazon Web Services=アマゾン・ウェブ・サービス)はAmazonが提供するクラウド型プラットフォーム。AWSを気に入って他の人にも広めたいと思っているファン達をコミュニティ化し、コミュニティ内のファンからコミュニティ外の潜在顧客へ販売網を広げる戦略を展開しています。その結果、新規ユーザー数を増やしつつコミュニティを拡大し、ユーザーのLTV向上にも成功して現在も成長し続けています。企業自らが自画自賛のメッセージを発信する手法や、報酬が発生するインフルエンサーマーケティングとも異なり、あくまでもファンがAWSの魅力、価値をリアルに語っていることがポイントになっています。

ファンマーケティングの注意点

数々の企業が実績を出していることからも効果が十分に期待できるファンマーケティングですが、「効果が出るまでには時間がかかる」「炎上リスクがある」などの注意点もあります。一般的にわずか一度のアクション、施策で通常のユーザーが即座にファン化することはないため、効果が出るまでしっかり時間をかけてコミュニケーションを取る必要があります。

また顧客との距離が近い分、炎上リスクが高くなることにも注意が必要です。SNSで発信するメッセージは、不特定多数のユーザーにリーチして広く閲覧されるため様々な受け取られ方をします。親しみを感じてもらえるようにとあえてカジュアルなテイストを加えたメッセージが、プライベート過ぎる印象を与える恐れもあります。発言内容を吟味したり、炎上時に素早く対応できるよう、あらかじめ担当部署を設けて対策を講じておくと良いでしょう。

炎上対策に関する情報はこちら

ファンマーケティング成功の3ステップ

ファンマーケティングを成功させるためには押さえておくべきポイント、重要なステップがあります。きちんと手順を踏むことでよりスムーズに施策を行うことができ、効率的に成果を出すことが期待できます。

ステップ1:自社のファンを定義する

ひと口に企業・ブランドの「ファン」といっても、その範疇は各企業のマーケティング手法によって異なります。顧客の中にファンと呼ぶべき人がどの程度いるのかを把握してセグメント化するために、まずは自社におけるファンの位置付けや定義を明確にする必要があります。

そこで多く活用されているのがNPS®(ネットプロモータースコア=推奨者の正味比率)です。NPS®は従来計測が難しかった顧客ロイヤルティの度合いを数値化する手法で、アップル、グーグル、スターバックスが導入していることでも知られています。NPS®の指標を測るには「この会社(もしくは商品・サービス)を友人や知人に薦める可能性」についてたずねて0~10点の11段階で回答してもらい、その後全体の評価を算出します。さらに顧客行動を調べて顧客ロイヤルティの高いお客様=ファンを発見します。

ステップ2:ファンからの評価を明確にする

ファンマーケティングを実行する前には、顧客による現状の評価を明確に把握する必要があります。ステップ1で紹介したNPS®では「NPS®アンケート」を用いますが、その質問内容が重要です。商品・サービスの使い心地をはじめ、顧客体験に沿う具体的な質問を設定します。

例えばECサイトで設定する質問なら「目的とするコンテンツの見つけやすさ」「トップページの表示内容」についてが良いでしょう。そしてアンケートを回収、集計したら、顧客が不満に思っている点や企業が改善すべき点を洗い出します。さらに課題解決のための施策を立案・実行して、実際に商品・サービスを改善することで顧客のファン化を促します。

質問設計についての情報はこちらもご覧ください。

ステップ3:継続的に情報収集と効果測定を行う

ファンマーケティングは中長期スパンで取り組むべきマーケティング手法なので、NPS®やその他アンケートの定期的な実施、ファンコミュニティの運営などを通じて継続的に情報を収集する必要があります。NPS®で定期的に施策の効果を測りながらPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:測定・評価、Action:対策・改善)サイクルを回すと、効果的にファンマーケティングの継続が可能です。

顧客の声を拾いやすい仕組みを設けて具体的な声やアイデアを取り入れ、商品・サービスを実際に改善していくことでファンとの共創が実現し、顧客満足度や顧客ロイヤルティも向上します。こうしてファンを大切にすることが、さらなる熱狂的なファンを生み出すことにつながるのです。

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ファンマーケティングの効率化にはNPX PROが最適

ファンマーケティングの効率化に寄与するツールのひとつにNPX Proがあります。「NPS®を実施してはいるが、そこから具体的な改善活動につなげられていない」「NPS®の調査実施や集計作業に手間がかかり過ぎている」といった企業の悩みを解決する機能を有し、アンケートの作成から配信、回答収集、アンケート集計・分析、分析結果の共有、フォローアップアクションの促進・管理まで、一連のプロセスを一元管理できます。

また、NPS®の調査結果を様々な切り口で見える化し、優先的に改善すべき課題を特定してくれる点も魅力です。さらに「批判的な声に即時に対応できていない」という悩みに対しては、批判者の声に対して即時にフォローアップする機能もあります。逆に推奨度の高い回答があった際にも企業の担当者へフィードバックしてくれるため仕事のモチベーション向上にもつながります。

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ファンマーケティングによるLTV向上は事業拡大に重要

人口減少や競争激化により新規顧客の獲得が厳しくなっている現代において売上向上・事業拡大を実現するためには、熱狂的なファンを育んでLTV向上を狙うことが重要です。そのために、まずはファンのニーズ、商品・サービスの改善点を洗い出すことが必要です。事業の成長率との高い相関があることから、顧客満足度に並ぶ指標として注目されているNPS®を上手に活用することで効率的・効果的なファンマーケティングを成功させましょう。

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