ABMは「Account Based Marketing」の略で、実在する企業・団体をターゲットに
戦略的・組織的にアプローチする手法。
ABMで効果を出すためにはどうすれば良いのかを解説します。
ABMとは「Account Based Marketing」の略。業種や市場などのカテゴリーをターゲットにするのではなく、実際に存在する企業・団体(アカウント)をターゲットとして設定し、その企業・団体からより多くの売上が得られるよう、戦略的・組織的にアプローチするマーケティングおよび営業の手法を指す。英語の「Account」には「得意先」という意味があるため、Account Based Marketing(直訳:得意先を基礎にしたマーケティング)」という表現となっている。
マーケティング活動に特化した新規顧客や見込み顧客(リード)の開拓に対して、「得意先」「大口顧客」にターゲットを絞り、マーケティングと営業活動を連携させて売上を拡大していく戦略とも言える。そのためABMは、BtoCビジネスと比べてターゲットとなる顧客数が少ないBtoBビジネスで採用している企業、中でも大企業に主に採用されている。
一般的なマーケティングでは、ターゲットを業種や市場といった範囲で設定する。その中から見込み顧客を発見し、様々なアプローチを行っていくことで、見込み顧客をコールドリード(確度の低い見込み顧客)からホットリード(確度の高い見込み顧客)へと変えていく。こうしたマーケティング活動を「リードジェネレーション(デマンドジェネレーション)」と呼ぶ。リードジェネレーションは、新規顧客を獲得できる一方で、ホットリード化するまでに時間と手間が発生する。
一方のABMは、自社に利益をもたらす可能性がある企業・団体をはじめからターゲットに設定する。ターゲットにピンポイントでアプローチするため、リードジェネレーションよりも効率的にマーケティングや営業活動を進めることができる。
ABMは、基本的には人員や資金などのリソースが大きな企業・団体に向けて行うことが一般的である。理由は、ABMは、ターゲットの企業・団体に対し、アップセル(顧客が購入を検討しているものより、さらに上位の商材を提案・販売すること)やクロスセル(顧客が購入を検討しているものに加え、関連する別商材を提案・販売すること)を行うことで、売上の最大化を目指す手法であるため。アップセルやクロスセルができるほどのリソースがない企業には、ABMは効果を発揮しない場合がある。さらに、自社がアップセルやクロスセルができる商品やサービスを保有していることが必要になる。自社の商材やサービスの数が乏しい場合は、ABMに不向きといえる。
ABMによってターゲット企業にアプローチをするには、リードジェネレーションとは異なるステップが必要になる。最初のステップは、ターゲットとなるアカウント(企業・団体)を指定すること。基本的には大企業・団体がターゲットとなるが、中でも、自社の商材やサービスとの親和性がポイントになる。たとえば、すでに取引のある顧客を分析し、それと似た規模や業種、地域の企業は有力なアカウントターゲットとなりえる。
ターゲットが決定したら、相手企業・団体における意思決定のキーパーソンが誰なのかを調査する。それ以外の人物にアプローチし、そこから徐々に人脈を作っていくことも可能だが、早い段階からキーパーソンにアプローチできれば、意思決定を効率的に進めることができる。すでに自社と取引のある企業のキーパーソンとつながりを持つには、社内の人脈をたどってみることが第一歩となる。
営業支援ツールに顧客情報が一元化されている場合は、そのデータをもとに担当者に問い合わせてみるのが良い。そういった経路が社内にない場合は、展示会やセミナーにおける名刺交換や、法人リストを購入しアウトバウンドコールを行うなどの取り組みを通じてアプローチをしていく。Web広告やオウンドメディアといったWebマーケティングを通じて獲得した見込み顧客の情報を活用することも有効な手段といえる。
ターゲットが決定し、キーパーソンも判明した後は、実際にターゲットに対しアプローチを行っていく。アプローチの際には、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、ターゲットのキーパーソンが置かれている立場を分析することが重要。すでに取引がある企業であれば、対面しているユーザー部門やそのキーパーソンをイメージすると、自社の商品やサービスについてどのように伝えれば、ターゲットの課題の解決へと導けるのかを可視化することができ、よりターゲットの興味を引くことができる。
ABMでターゲット企業と繋がりを持つために、以下に紹介するようなツールを使うことで、確率を高めることができる。以下で紹介する。
普段のビジネスシーンで何気なく名刺交換した相手が、ABMにおいて相手企業のキーパーソンになることもあり得る。名刺管理ツールを使えば、従業員が交換した名刺を一元管理し、企業の資産として保有することが可能。ABMでキーパーソンをつながるためのツールとして役に立つ。
これらのツールでは、企業に対しどのようなアプローチを行ったのか、ターゲットとの商談が今どのような段階にあるのかといった情報が全社的に共有できる。営業部門とマーケティング部門の連携もスムーズになり、ABMの効果も高められる。
ターゲット選別に必要な顧客情報を蓄積し、商品やサービスごとに管理されていた取引履歴を企業単位に統合、客観的な視点からターゲット企業を選別するためのツール。SFAやCRM、MA(マーケティングオートメーション)ツールと連携することも可能。
ABMは、1つの企業と深く付き合うことで、多くの売上を生み出す可能性を秘めた手法。ABMは、リードナーチャリングと同時に取り組むこともできる。リードナーチャリングで新規顧客を広げつつ、ABMで大口顧客を獲得できれば、ビジネスに大きなメリットをもたらすことができる。
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