カスタマージャーニーとは、顧客を想定したペルソナの行動や思考、
感情を時系列にまとめ、顧客が購入に至るまでのプロセスを可視化したもの。
作成するメリットや作成方法を解説します。
カスタマージャーニーを直訳すると「顧客の旅」。顧客を想定したペルソナの行動や思考、感情を時系列にまとめ、顧客が購入に至るまでのプロセスを可視化(図式化)したものである。認知、興味・関心、比較・検討、購入というプロセスごとにペルソナの動きをまとめることで、どのようなタッチポイントでどのような施策を実施すべきかといった戦略が立てやすくなる。
企業の消費者に対するアプローチは、いかに心理変化を引き起こし説得するかを考える「コントロール」といった視点から、消費者の行動を観察し、適切なタイミングで「支援」しようという考え方にシフトしてきている。この、考え方を「消費者=旅人」「行動=旅程」と置き換え、体系化したのがカスタマージャーニーモデルである。
カスタマージャーニーを作成するメリットとしては、作成の過程で深く顧客を理解することができ、顧客目線の適切なマーケティング活動が可能になることが挙げられる。カスタマージャーニー作成の基本は、横軸に「フェーズ」(=ステージ)を置き、そのフェーズごとに「設定したペルソナの行動と思考」「自社が取るべきアクション」を加えていく。顧客のフェーズに応じて、MAやCRMといった適切なツールを用いて、より効果的な施策に取り組むことが大切である。
カスタマージャーニーを作るためには、まず、ターゲットとなる顧客のペルソナ(典型的な顧客像)を設定する。通常、ペルソナの設定は性格や趣味、年齢といった情報も詳しく設定する。BtoBビジネスの場合は、そのようなパーソナルな情報よりも、どんな業種や規模の企業に務めているのか、部署や役職は何か、どの程度の権限を持っているのか、といったようなビジネス寄りの設定が求められる。
具体的には、「◯◯系の会社で、年商◯億円。決裁権限を持っているのは◯◯部長で、チームのメンバーは◯人」といったイメージとなる。ペルソナの設定が難しい場合は、自社顧客の中から、理想的な関係にある企業をイメージすると考えやす。
ペルソナを設定することで、メンバー全員で共通の顧客像が思い描けるようになり、メンバー間における意識のズレを防ぐことが期待できる。顧客に対するアプローチや、顧客の態度の変容も分析しやすくなるため、カスタマージャーニーの精度を高めることもできる。
ペルソナを設定した後は、そのペルソナがどういう態度を変容させ、購入に至るのか、そのプロセスをいくつかのステップに分けて定義する。
顧客が購入するまでのステップは、基本的には、「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入」となる。ただし、商品やサービスによってはさらにステップが増える場合もある。
たとえば、サブスクリプションサービスの場合、一度購入するだけで終わりというわけではない。利益を生むためには、顧客に解約されることなく、サービスが継続する限り顧客に使い続けてもらうことが求められる。そのため、「継続・再購入」といったステップが必要になる。
基幹システムのような高額な投資が必要とされる場合や、部署横断で多数の従業員が利用するサービスの場合、「認知」から「購入」までのプロセスが長くなる傾向がある。その場合、自社の商品やサービスに「興味・関心」を持った見込み顧客に対して、意思決定を後押しする有益な情報を、定期的に発信していく必要がある。その際は、「購入意欲を喚起」といったステップも含めて、カスタマージャーニーマップを考える必要がある。
ステップが設定できたら、そのステップに対し、ペルソナがどのような感情を持ち、どのような行動を取るのかを分析する。
たとえば認知は「へえ、こんなツールもあるのか。覚えておこう」、興味・関心は「この前のあのツールか。費用はいくらだろう」、比較・検討は「他社の商品やサービスと比べると、高額というわけじゃない。買っても良いかも」、購入は「買ったはいいが、どうやって使えば良いのだろう?」といったことである。
こうした顧客の感情に合わせてアプローチを行うことで、顧客の態度を変容させることが可能になる。比較・検討の段階でいえば、「競合商品との価格/機能の比較表を提示する」ことで、より検討が進み、商品やサービスの購入へと態度が変わることが期待できる。
この段階では、顧客がどのような感情で商品やサービスに向かい合っているのか、そしてその感情に対し、どのような接点を持つことで態度が変容できるのか、具体的に考えていくことが重要になる。
これらの情報が揃ったうえで、実際にカスタマージャーニーのプロセスを可視化していく。図式化されたプロセスは、カスタマージャーニーマップとも呼ばれる。さらに、カスタマージャーニーマップが機能するよう、各ステップのKPI(重要業績評価指標)を設定する。
カスタマージャーニーマップを運用していく中では、ビジネス実態とマップで想定した内容に乖離が生まれるケースもある。その際は、乖離を修正しより実態に合ったマップへと変えていくことで、マップの精度が高まり、より信頼性の高いものへと変わっていく。そのため、カスタマージャーニーマップを最初から詳細まで作り込まず、簡易的なマップを作り、後から実態に即した内容にブラッシュアップしていくやり方もある。
カスタマージャーニーは顧客が自社の商品・サービスを知り、購入するまでの“旅”を図式化したもの。その旅の途中には、さまざまなストーリーが発生し、一歩間違えれば顧客は商品・サービスに対する興味が無くなり、旅は途中で終わってしまう。カスタマージャーニーを可視化したカスタマージャーニーマップは、その旅が途中で終わること無く、最後まで続くための地図となる。
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