マーケティングにおける「ターゲティング」とは、
顧客の属性を絞り、効率よく収益を挙げることを目的とした考え方。
設定方法と、効果分析の方法を紹介します。
ターゲティングはマーケティングビジネス用語の1つ。自社の商品やサービスの売上を最大化するに当たり、顧客の属性を絞り、効率よく収益を挙げることを目的とした考え方で、「STP分析」というフレームワークのひとつでもある。
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation、市場や顧客を条件ごとに分類すること)、ターゲティング、ポジショニング(Positioning、市場における自社の立ち位置を決め、他社と差別化を図ること)の頭文字を取ったものである。いずれも新たな市場を開拓する際に役立つマーケティング手法となるが、ターゲティングはその中で「誰に売るか?」を検討するフレームワークとなる。
ある企業が、BtoBビジネスとしてクラウドサービスを開発・販売するとなった際、ターゲットを中小企業とするのか、大企業とするのかで、売り方は大きく変わる。たとえば、大企業向けであれば高いセキュリティ機能を搭載しているといった「機能性」を訴求する、中小企業には必要な機能に応じて「価格を選べる」ことを訴求するなど、マーケティング方針を計画していく際に役立つ。
ターゲティングと似たフレームワークに「ペルソナ」がある。これらはいずれも顧客となる層を限定する考え方だが、同じ意味ではない。
ペルソナとは、自社の商品・サービスの仮想ユーザーのことで、ターゲットは実際に存在する集団を設定したものとなる。たとえば、「男性で50歳、大企業に務める役職者、部下は◯◯人。趣味は◯◯で、休日は◯◯することが多い」といったような、仮想的な顧客像を設定することで、顧客の潜在ニーズを探る際に活用する。一方のターゲティングは、「男性、50代、大企業勤務の役職者」といったように、自社が顧客にすべき層を設定する。ペルソナとは違い、実際に存在している集団を表す。
ターゲティングとペルソナは相反する考えではなく、同時に使用することもある。たとえば、ターゲティングとなる層を指定した後に、そのターゲット層のリアルな人物像として、ペルソナを設定することケースもある。
実際にターゲットを設定する際には「6R」というフレームワークを活用すると良い。6Rでは、頭文字にRが付く6つの項目をチェックすることで、最適なターゲットを導き出せる。以下に、その6点のポイントを列挙する。
(1)有効な市場規模(Realistic Scale)
商品やサービスを販売するためには、相応のコストが必要になる。たとえ良い商品やサービスができたとしても、市場が小さくコストの回収が難しければ、ビジネスとして失敗する可能性が高い。
(2)競合(Rival)
多くの場合、市場には商売のライバルとなる競合が存在する。競合他社が多数ひしめく“レッドオーシャン”な市場や、競合他社が“一強”状態であった場合は、厳しいビジネスになることが予想される。
(3)市場の成長率(Rate of Growth)
市場が成長しているのか、衰退しているのかも、重要な判断のポイントとなる。現在は市場が小さくでも、将来的な成長の見込みがあれば、やがて大きなビジネスになる可能性がある。一方、現在は成長していても、数年先は衰退が予想されている場合はリスクが生じる。
(4)連鎖反応(Ripple Effect)
「Ripple」とは、水面に物が落ちた時に発生する波紋のことを意味する言葉。Ripple Effectとは、市場に商品やサービスを導入することで、良い波及効果が生まれるかどうかを事前に予想することを指す。たとえば「口コミ」も、波及効果のひとつ。口コミが連鎖を続けることで、商品やサービスのさらなる販売に繋がる可能性がある。
(5)到達可能性(Reach)
ターゲティングを設定したとしても、実際にそのターゲットとなる顧客に商品が届けられるとは限らない。顧客がどのような手段や順番で商品・サービスを知り、購入に至るのか、その筋道を事前に考えておく必要がある。
(6)測定可能性(Response)
市場に向け、広告などさまざまなアプローチを打った場合、その反応や効果を測定できるか否かも、ターゲティングにおける重要なポイントとなる。反応が分からなければ、広告を行ったことでどのような影響が生まれたのかも分からず、PDCAを回すことも難しくなる。
ターゲティングで重要なポイントは、何より自社の強みが発揮できる市場を選択することにある。特に、競合他社が多く存在している市場に参入する場合には、その中で優位に立つ必要があるため、「ここなら勝負できる」という市場を見誤らないことが求められる。
ターゲティングは定期的に見直してく必要がある。当初はAという市場に限定していたものの、実はBという市場も自社の商品やサービスのニーズが存在しているケースもある。思うように業績が上がらない事業があれば、ターゲティングを見直すことで事業が復調することも考えられる。
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