2025/10/22
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、生命保険のコンタクトセンターを対象に、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。電話やメール、チャットなどで契約者からの問い合わせを受け付けるコンタクトセンターは、顧客と直接つながる接点として、CX向上の観点からも生命保険において重要視されています。本調査はコンタクトセンターの利用体験に焦点を当てたNPSベンチマーク調査となります。有効回答数は2,847件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の生命保険のカスタマーサポートの体験を踏まえ、友人や同僚、家族にその会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
本調査では、生命保険の契約者のうち、電話やメール、チャットなどの手段でコンタクトセンターに連絡を取った利用者を対象に調査をしました。対象の生命保険13社のうち、コンタクトセンターの利用を受けてのNPSのトップはソニー生命(-22.7)、2位はプルデンシャル生命(-24.7)、3位はオリックス生命(-31.1)となりました。対象13社のNPS平均は-35.4、またトップ企業とボトム企業との差は26.8ポイントとなりました。

業界全体のロイヤルティを醸成する要素を18項目で分析したところ、「問題解決までの総合的なスピード」や、「回答精度の高さ・正確さ」、「説明のわかりやすさ」といった項目がロイヤルティを醸成する要因となりました。またオペレーターの「対応の迅速さ・スムーズさ」、「親身な対応・お客様に寄り添う姿勢」、「専門知識の豊富さ」といった項目もロイヤルティ醸成に寄与しました。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、「解決・結論がでるまでの途中経過・進捗の共有」や、「問い合わせ後のフォローアップ」、また、「期待を超える応対・情報提供」が挙がり、今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体におけるロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/inquiry/
NPS1位となったソニー生命では、「適切な担当者を案内してくれる」や「期待を超える応対・情報提供」といった項目がロイヤルティを醸成する要因となりました。2位のプルデンシャル生命は「問い合わせ後のフォローアップ」が、また3位のオリックス生命は「回答精度の高さ・正確さ」がそれぞれ評価されました。
生命保険のコンタクトセンターに問い合わせをした理由を調査したところ、最も多くなったのは「現在の契約やプランの内容について」(21.1%)となりました。次いで、「医療保険金(給付金)の受け取りについて」(19.8%)、「加入・契約手続き、契約更新について」(10.5%)、「資料請求、商品内容、見積もりについて」(8.7%)が続きました。
図:コンタクトセンターに問い合わせした内容(上位10項目)
問い合わせした内容について、解決までにかかった連絡回数を調査したところ、「初回の連絡で問題が解決した」と回答した利用者が82.6%となりました。また、NPSも分析したところ、「初回の連絡で問題が解決した」と回答した利用者のNPSは-30.7となり、「複数回連絡をして問題が解決した」、「問題が解決しなかった」と回答した利用者に比べてNPSは高くなりました。
左図:問題解決までにかかったコンタクトセンターへの連絡回数
右図:問題解決までにかかったコンタクトセンターへの連絡回数別にみたNPS
該当の生命保険のコンタクトセンターを利用する前に、自身の契約などを担当している専属となる特定の担当者に相談をしたか調査をしたところ、「特定の担当者がいて、カスタマーサポートに問い合わせをする前に相談した」と回答した人は31.6%、また「特定の担当者はいるが、カスタマーサポートに問い合わせをする前に相談をしなかった」と回答した人は29.3%となりました。
図:コンタクトセンターに連絡する前における、専属となる特定の担当者への相談有無
「特定の担当者はいるが、カスタマーサポートに問い合わせをする前に相談をしなかった」と回答した人に対し、担当者に連絡をしなかった理由を調査したところ、「担当者に連絡を取るほどの内容ではなかったため」(25.1%)が最も高く、次いで「担当者の都合を気にせず好きな時間に問い合わせできるため」(23.2%)、「担当者の担当する範囲のことではなかったため」(22.8%)が続きました。
図:コンタクトセンターに連絡する前に専属となる特定の担当者に連絡をしなかった理由
特定の担当者がいると回答した人に対し、コンタクトセンターと担当者は問い合わせ内容の引継ぎや自分の都合の良いタイミングでの連絡があるなどの連携がとれていると感じるか調査したところ、「とてもそう感じる」と回答した人は21.4%、「ややそう感じる」と回答した人は36.4%となりました。これらの回答別にNPSも分析したところ、「とてもそう感じる」と回答した人のNPSは34.3となり、他の回答者に比べても特に高くなりました。コンタクトセンターと担当者間で連携し、利用者をサポートしていくことの重要性が示唆される結果となりました。
左図:担当者とコンタクトセンターの連携度合いに対する印象
右図:担当者とコンタクトセンターの連携度合いに対する印象別NPS
コンタクトセンターで利用した連絡手段について、有人での電話問い合わせを「ボイス」、それ以外のメールや問い合わせフォーム、有人チャットやAIチャット・チャットボットなどを「ノンボイス」として区分して調査したところ、最も高いのは有人の電話問い合わせの「コールセンター(有人)」(65.5%)となりました。次いで「メール・問い合わせフォーム」(18.1%)、「コールセンター(自動応答(IVR))」(8.8%)が続きました。
図:コンタクトセンターへの連絡で利用した手段
また今後の利用したい連絡手段について、年代別に分析をしたところ、30代以下においては「ノンボイス(メール・問い合わせフォーム・有人チャット・AIチャットなどの有人の電話問い合わせ以外の連絡手段)」で利用したいと回答した割合が67.2%となり、有人の電話問い合わせの割合を上回りました。一方60代以上では、「コールセンター(有人)」を希望する割合は79.6%と高い一方、「ノンボイス」は36.0%となり、年代によって希望するコンタクトセンターへ連絡する手段について差異がみられました。
左図:今後問い合わせで有人のコールセンターを利用したい割合
右図:今後問い合わせでノンボイスを利用したい割合
該当の生命保険のカスタマーサポートに連絡して、解決または回答が得られるまでに、どのくらい負担を感じたか調査したところ、「負担感があった(やや負担感があった・負担感があった・非常に負担感があった)」と回答した割合は全体の2割弱にとどまりました。
また、「負担感があった」と回答した人に具体的どのタイミングで負担感を感じたか調査したところ、最も高かったのは「カスタマーサポートと連絡がつながる」(44.3%)となり、次いで「カスタマーサポートに問い合わせ内容を伝える」(35.7%)、「カスタマーサポートの連絡先を探す」(25.6%)が続きました。
コンタクトセンターの利用を受けて、対象の生命保険における今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【生命保険部門 コンタクトセンター調査】
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、プルデンシャル生命、明治安田生命、メットライフ生命
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。