2024/07/11
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、電力業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は東日本部門3,590件、西日本部門3,953件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の電力会社の利用者が、友人や同僚、家族にその電力会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
〈東日本部門〉: auでんき、ENEOSでんき、J:COMでんき、ソフトバンクでんき、東京ガス、東京電力エナジーパートナー、東北電力、北海道電力
〈西日本部門〉:auでんき、大阪ガス、関西電力、九州電力、四国電力、ソフトバンクでんき、中国電力、中部電力ミライズ、北陸電力
東日本部門における電力会社8社のうち、NPSのトップは東京ガス(-29.9ポイント)、2位はENEOSでんき(-41.0ポイント)、3位は東北電力(-50.7ポイント)となりました。8社のNPS平均は-52.8ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は43.0ポイントとなりました。
西日本部門における電力会社9社のうち、NPSのトップは大阪ガス(-36.5ポイント)、2位は九州電力と関西電力(-39.5ポイント)で同一の順位となりました。9社のNPS平均は-46.9ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は23.0ポイントとなりました。
20の要因別に業界全体のロイヤルティの要因を分析したところ、「企業の信頼性/ブランドイメージ」や「サービスの信頼性/安定性」に加え、「自分にあった契約プランがあること」や「契約プランがシンプルで分かりやすいこと」がロイヤルティを醸成する要因となりました。また、「マイページなどの契約者専用ページの分かりやすさ・使いやすさ」や「コールセンターの応対の良さ」もNPS向上に寄与しました。
「マイページなどの契約者専用ページの分かりやすさ・使いやすさ」については、昨年度から特に新電力においてロイヤルティへの影響度が高まり、基本維持項目から重点維持項目に移行しました。マイページ利用者は、非利用者と比較して「節電プログラム・節電チャレンジ」(節電状況に応じてポイントを付与するサービス)の参加率や、電力会社から発信される節電に関する情報やコラムの確認率が高く、マイページを通じて利用料金の確認に加えてさまざまな機能・サービスを利用し、メリットを感じていることがうかがえました。
一方でロイヤルティを向上させるために優先的に改善が期待される項目としては、「利用料金の適切さ」といった料金面の項目のほか、「自然環境・SDGsに配慮した企業姿勢」や「お客さまの声に耳を傾ける姿勢」があがりました。また、「契約者の節電を促進する取り組み」においても今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:https://www.nttcoms.com/service/nps/report/energy/inquiry/
東日本部門1位の東京ガスは、業界全体の改善項目となった「企業の信頼性/ブランドイメージ」や「自分にあった契約プランがあること」や「契約プランがシンプルで分かりやすいこと」が高く評価されました。また、「マイページなどの契約者専用ページの分かりやすさ・使いやすさ」もロイヤルティ醸成に寄与する結果となりました。
西日本部門1位の大阪ガスは、「利用料金の適切さ」や「支払い方法の豊富さ」がロイヤルティ醸成につながりました。また、「お客さまの声に耳を傾ける姿勢」においても高い評価を獲得しました。
一般電気事業者と新電力別にNPSの経年変化を分析したところ、一般電気事業者では年々向上しており、2020年から17.7ポイント向上しました。
図:事業者種別NPSの経年推移
※一般電気事業者の対象社数は2020年~2022年は2社、2023年以降は9社と変更している
一般電気事業者と新電力別にロイヤルティ醸成要因を分析したところ、それぞれに違いがみられました。一般電気事業者においては、「企業の信頼性/ブランドイメージ」や「サービスの信頼性/安定性」がロイヤルティ醸成の要因となり、昨年と比較して満足度も向上しました。また「利用料金の適切さ」も満足度が向上しており、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策」による電気料金の値下がりの影響があったとみられます。
また新電力においては、「企業の信頼性/ブランドイメージ」や「サービスの信頼性/安定性」に加え、「自分にあった契約プランがあること」や「契約プランがシンプルで分かりやすいこと」といった契約プランに関する項目や「マイページなどの契約者専用ページの分かりやすさ・使いやすさ」がロイヤルティ醸成の要因となりました。
図:事業者種別にみたロイヤルティの要因分析
(詳細な分析結果は、ダウンロード資料にてご覧いただけます)
昨今の電力ひっ迫の恐れや電気料金の値上がりする中、電力各社では契約者に節電を促進する取り組みが進んでいます。そこで、現在取り組んでいる節電の内容について調査したところ、最も高いのは「不要な照明を消す」(69.8%)となりました。次いで「エアコンの設定温度を調節する」(68.7%)、「エアコンの使用を控える・使用時間を減らす」(52.1%)が続きました。一方で、「節電グッズを使う(断熱シートなど)」(12.0%)や「使用するエアコンの台数を減らす」(17.4%)、「テレビの主電源を切る」(17.4%)といった節電の実施率は低い結果となりました。
図:現在取り組んでいる節電の内容
また、どのような仕組みがあったら節電に取り組みたくなるかを調査したところ、最も割合が高いのは「節電した分だけ報酬(ギフト券やポイント還元等)を得られる」(58.2%)となりました。次いで「家庭の電気使用量がリアルタイムで確認できる」(26.5%)、「普段の電気使用量と比べてどれだけ節電出来たか確認できる」(24.9%)が続きました。ロイヤルティ構成要素の「契約者の節電を促進する取り組み」はロイヤルティに与える影響度が高いことからも、節電チャレンジ・節電プログラムをはじめとする契約者が節電に取り組みたくなる仕組みを作ることの重要性が示唆されました。
図:節電に取り組みたくなる仕組み
対象の電力会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.9ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.9ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【電力】
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。