2022/07/21
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、電力業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は4,353件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の電力会社の契約者が、友人や同僚、家族にその電力会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
一般電気事業者:関西電力、東京電力エナジーパートナー
新電力:auでんき(KDDI)、ENEOSでんき(ENEOS)、J:COM電力(ジュピターテレコム)、おうちでんき(ソフトバンク)、大阪ガス、東京ガス、楽天でんき(楽天エナジー)
関連調査として、2022年に「電力」についてインターネットアンケートサービス「NTTコムリサーチ」を用いて調査を実施しました。
「電力」に関する調査結果~「節電した分をポイント還元」で節電のモチベーションがアップ~
詳しくはこちら からご覧ください。
電力会社9社のうち、NPSのトップは東京ガス(-32.0ポイント)、2位はENEOSでんき(ENEOS)(-33.5ポイント)、3位は大阪ガス(-36.6ポイント)となりました。トップ企業とボトム企業との差は34.0ポイント、対象9社のNPS平均は-48.3ポイントとなりました。
図:電力(関東・関西)におけるNPSの分布
20の要因別にロイヤルティの要因を分析したところ、「企業の信頼性/ブランドイメージ」や、「サービスの信頼性/安定性」、「安定的に電力を供給する取り組み・企業努力」といった企業やサービスの信頼性・安定性に関する項目がロイヤルティを醸成する要因となりました。また、「自分にあった契約プランがあること」や「契約プランがシンプルで分かりやすいこと」といった契約プランに関する項目も、NPS向上に寄与することがわかりました。
一方、「自然環境・SDGsへ配慮した取り組み」や、「新規顧客向けの割引・特典の充実さ」において今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
東京ガスは、「サービスの信頼性/安定性」や「安定的に電力を供給する取り組み・企業努力」といったサービスの信頼性や安定性に関する項目に加え、CO₂ネット・ゼロへの取り組みなどの「自然環境・SDGsに配慮した企業姿勢」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPS1位につながりました。また、「マイページなどの契約者専用ページの分かりやすさ・使いやすさ」においても高い評価を得ました。2位のENEOSでんき(ENEOS)においては、「利用料金の適切さ」や「契約プランがシンプルで分かりやすいこと」について、3位の大阪ガスにおいては、「自分に合った契約プランがあること」や「支払い方法の豊富さ」の項目がそれぞれ評価され、NPS上位となる結果となりました。
一般電気事業者と新電力でのNPS平均を比較したところ、一般電気事業者のNPS平均は-58.3ポイント、新電力のNPS平均は-45.5ポイントとなり、新電力の方が高い結果となりました。しかし、2020年からのNPSの変化をみると、一般電気事業者では上昇傾向、新電力では下降傾向にあり、両者の差は年々縮まっていることがわかりました。現状は新電力のほうがNPSは高いものの、今後の変化を注視する必要があります。
図:事業者種別NPSの時系列推移
新電力契約者に対し、契約年数を調査したところ、「1年未満」(17.1%)と「2年~3年未満」(17.1%)が同率で最も高く、次いで「1年~2年未満」(14.1%)となりました。
また、新電力契約者における、契約年数別のNPSを分析したところ、契約年数が長い人ほどNPSが高い結果となりました。
昨今の電力ひっ迫の恐れから節電要請がなされる中、電力各社では、契約者に節電を促進する取り組みが進んでいます。そこで、契約している電力会社による契約者に対して節電を促進する取り組みについてどの程度知っているかを調査したところ、「よく知っている・ある程度知っている」と回答した人は28.7%となり、認知度は低い結果となりました。
また、電力会社による節電を促進する取り組みに接したことがあるものを調査したところ、「ウェブページや公式スマホアプリでの日々の電気利用料のお知らせ」(20.5%)が最も高く、次いで「節電に関するコラムなどの情報提供」(12.0%)になりました。また、インセンティブ型デマンドレスポンス(DR)などの「節電の取り組みに応じたポイントや割引など報酬の受け取り」(9.4%)が続きました。
図:電力会社による節電を促進する取り組みへの接触率
さらに、電力会社による節電を促進する取り組みに接した数ごとにNPSを分析したところ、その数が多いほど、NPSが高い傾向がみられました。日々の電気利用料のお知らせや節電に応じた報酬などの、契約者が節電に取り組みやすくなる仕組みを作ることの重要性が示唆されました。
図:電力会社による節電を促進する取り組みに接した数別のNPS
対象の電力会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.4ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.8ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.6ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となりました。
図:NPSセグメント別継続利用意向
Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。