2025/03/27
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、ネット専業型旅行会社を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答数は3,526件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象のネット専業型旅行会社の利用者が、友人や同僚、家族にその旅行会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
<調査対象企業・サービス(アルファベット順、50音順)>
agoda(アゴダ)、Booking.com(ブッキングドットコム)、Expedia (エクスペディア)、Yahoo!トラベル、一休.com、じゃらんnet、楽天トラベル、るるぶトラベル
対象のネット専業型旅行会社8社のうち、NPSのトップはじゃらんnet(-1.5ポイント)、2位は楽天トラベル(-6.6ポイント)、3位は一休.com(-8.6ポイント)となりました。対象8社のNPS平均は-14.7ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は32.0ポイントとなりました。
ネット専業型旅行会社のロイヤルティを醸成する要素を15の項目で分析したところ、「予約・購入のしやすさ」や「ウェブサイトの使いやすさ・わかりやすさ」、また「アプリの使いやすさ・わかりやすさ」といった、サービスの使いやすさやわかりやすさに関連する項目となりました。また、「サービスの信頼性・安心感」、「企業イメージ/ブランドイメージのよさ」のほか、「コストパフォーマンスのよさ」、「自身のニーズにあった商品がある」といった商品性に関連する項目もロイヤルティの醸成につながりました。
一方で業界全体で求められる改善項目はみられず、業界全体のロイヤルティを醸成する要因をさらに高めていくことが求められる結果となりました。
図:ネット専業型旅行会社全体におけるロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/net-travel/inquiry/
NPS1位となったじゃらんnetでは、業界全体のロイヤルティ醸成要因ともなった「予約・購入のしやすさ」や「ウェブサイトの使いやすさ・わかりやすさ」といった項目が評価される結果となりました。2位の楽天トラベルは「サービスの信頼性・安心感」や「企業イメージ/ブランドイメージのよさ」が、3位の一休.comは「期待を超える商品がある」、「旅の質の高さ」といった商品性に関連する項目がロイヤルティ醸成要因となり、それぞれNPS上位となりました。
旅行業界においては、複数の旅行予約サイトを横断で検索し、宿泊施設や航空券などを料金比較できる旅行比較サイト(Trivagoやトラベルコなど)の利用がみられています。該当の旅行会社の利用において、購入・申し込みをした手段を調査したところ、全体の13.4%が「旅行比較サイト経由で対象の旅行会社を利用した」と回答しました。また、「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」と回答した割合は86.6%となりました。
これらの手段別にNPSも分析したところ、「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」と回答した利用者のNPSが-7.9ポイントであった一方、「旅行比較サイト経由で対象の旅行会社を利用した」と回答した利用者のNPSは-52.8ポイントと差がみられました。
上図:旅行の購入・申し込みをした手段
下図:旅行の購入・申し込みをした手段別NPS
※Webサイト・アプリと旅行比較サイトを併用している利用者は「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」に含めた
これら旅行の購入・申し込みをした手段別に、初めて該当の旅行会社を利用してからの年数を分析したところ、
「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」利用者においては、10年以上利用している利用者が22.2%と最も高くなりました。一方で「旅行比較サイト経由で対象の旅行会社を利用した」と回答した利用者においては1年未満の利用者が40.5%と最も高くなり、旅行比較サイトを経由した利用者においては利用年数が短い傾向がみられました。
図:旅行を購入・申し込みをした手段別にみた、初めて利用してからの年数
※Webサイト・アプリと旅行比較サイトを併用している利用者は「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」に含めた
また、「旅行比較サイトで購入・申し込みをした」利用者におけるロイヤルティ要因分析をしたところ、「予約・購入後のアフターフォロー」や「問い合わせ時の応対のよさ」、また「会員特典の充実度」といった項目において、改善が期待される結果となりました。旅行比較サイトを経由し申し込んだ利用者への問い合わせ時の対応や、予約後のアフターフォローを改善することの重要性が示唆される結果となりました。
図:旅行比較サイト利用者におけるロイヤルティ要因分析
※Webサイト・アプリと旅行比較サイトを併用している利用者は「対象の旅行会社のWebサイト・アプリで直接購入・申し込みをした」に含めた
近年、ChatGPTなどの生成AIの利活用が注目される中、旅行業界では旅行関連メディアやサイトなどにおいて、行先や泊数、利用者のニーズなどに基づきAIが旅行プランを提案するサービスがみられています。これらのAIを用いた旅行サービス提供の動きを背景に、利用者の旅行におけるAIの利用状況を調査したところ、「旅行会社や旅行メディアが提供するAIサービスを利用したことがある」と回答した利用者は5.7%、また「旅行するにあたり生成AIを利用したことがある」と回答した利用者も6.7%となりました。
これらのAIの利用状況を年代別に調査したところ、20代以下における旅行でのAIの利用率は17.8%となり、若年層ほど利用率が高い傾向がみられました。また「利用したことはないが今後旅行するにあたり、AIを利用してみたいと思う」と回答した利用者は、若年層に限らず40代や50代でも高い傾向がみられました。
図:年代別にみた、旅行にあたってAIサービスを利用した経験
さらに、旅行するにあたってAIを使ったことがある利用者と、AIを利用したい意向がある利用者に対して、今後どのような形でAIの活用を期待しているか調査したところ、最も高くなったのは「旅行先の観光地巡りのスケジュールやプランの自動作成」(50.8%)となり、次いで「自分の性別や年代、趣味・嗜好に合致した旅行テーマやアイデアの提案」(49.9%)、「旅行先での自分に合った観光地・スポットの提案」(49.9%)が続きました。
図:今後、旅行においてAIの活用に期待していること
実際の旅行にあたりAIを利用したことがある利用者に対し、具体的な利用内容を自由記述で調査したところ、「旅行先のおすすめスポットの提案」や、「行きたい観光地を期限内に全部回るためのコースの提案」、「グループ旅行の人数と日数の条件に該当する行き先の提案」、また「海外の現地でのアクセス方法や注意事項の確認」などを目的に利用している声がみられました。
現状においては、旅行におけるAIサービスの活用は限定的であるものの、若年層を中心に浸透しつつあり、今後は自分にあったプランや観光ルートの策定、旅行テーマのアイデアなどを得るといった目的でのAIの利用意向が高いことがうかがえる結果となりました。
該当の旅行会社で利用した旅行の内容を調査したところ、全体の93.3%が国内旅行、また9.5%が海外旅行をしている結果となりました。具体的な内容としては、国内旅行での宿泊のみの利用が突出して高く82.5%となり、次いで国内旅行における交通手段と宿泊のパッケージ(ダイナミックパッケージ)が9.2%となりました。また、オプショナルツアーやアクティビティ、テーマパークなどのチケット購入、レンタカーの予約などのオプションの利用は8.4%となりました。
対象のネット専業型旅行会社の利用に対し、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.9ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【ネット専業型旅行会社】
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。