2025/03/26
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、総合型旅行会社を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答数は3,249件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の総合型旅行会社の利用者が、友人や同僚、家族にその旅行会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
<調査対象企業(アルファベット順、50音順)>
ANAトラベラーズ・ANA SKY Web、HIS(エイチ・アイ・エス)、JR東海ツアーズ、JTB、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム、ジャルパック、 日本旅行、 阪急交通社
対象の総合型旅行会社9社のうち、NPSのトップはジャルパック(1.1ポイント)、2位はJR東海ツアーズ(0.0ポイント)、3位はクラブツーリズム(-6.5ポイント)となりました。対象9社のNPS平均は-8.9ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は24.1ポイントとなりました。
総合型旅行会社のロイヤルティを醸成する要素を19の項目で分析したところ、「企業イメージ/ブランドイメージのよさ」や「サービスの信頼性・安心感」、また「お客さまに寄り添う姿勢・大切にする姿勢」といった企業姿勢やブランドイメージに関連する項目となりました。このほか、「担当者の説明のわかりやすさ」、「担当者による要望に合ったプランの提案」、「担当者の期待を超える提案力」といった担当者の対応に関連する項目や、「自身のニーズに合った商品がある」、「予約・購入のしやすさ」といった項目もロイヤルティの醸成につながりました。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、「期待や想像を超える商品がある」、「旅の質の高さ(現地を含めたスタッフの対応、品質や内容など)」、また「コストパフォーマンスのよさ」といった商品性に関連する項目となりました。
図:総合型旅行会社全体におけるロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/travel/inquiry/
NPS1位となったジャルパックでは、「企業イメージ/ブランドイメージのよさ」や「サービスの信頼性・安心感」といった項目が評価されました。2位のJR東海ツアーズは「コストパフォーマンスのよさ」が、3位のクラブツーリズムは「自身のニーズにあった商品がある」、「旅の質の高さ」といった項目がロイヤルティ醸成要因となり、それぞれNPS上位となりました。
近年、特定の観光地に観光客が過度に集中することで、地域住民の生活などの地域社会や自然環境、景観などに悪影響を与えたり、観光客の満足度を著しく低下させる、いわゆるオーバーツーリズムが問題となっています。これらオーバーツーリズムのニュースや情報を受けて、計画した旅行について行動に変化があったか調査したところ、全体の36.4%が変更した経験があると回答しました。
変更経験がある人における、具体的な旅行の変更内容も分析したところ、最も高くなったのは「旅行先に行く時期を変更した」(36.4%)となり、次いで「旅行の行先を変更した」(30.1%)、「旅行の行先はそのままで、訪問予定の観光地などを変更した」(25.8%)が続きました。
図:オーバーツーリズムのニュースや情報を受けて、計画した旅行への行動の変化
また、旅行会社がオーバーツーリズム対策ができたプランや旅行商品の提案ができていると感じるか調査したところ、「とてもそう感じる」と回答した利用者は3.7%、「比較的そう感じる」と回答した利用者も16.6%にとどまりました。自由記述での改善要望においても、オーバーツーリズムのためビュッフェ等食事の衛生面が気になり残念だった、オーバーツーリズム対策として観光地のオフシーズンなどの情報もほしい、といったオーバーツーリズムを意識したサービスや情報提供を期待する声もみられ、旅行会社としてオーバーツーリズムへの対策をとっていくことの重要性がうかがえる結果となりました。
図:旅行会社のオーバーツーリズムへの対策に対する印象
該当の旅行会社を利用したことで、旅行や移動に対する高揚感が高められたと感じるか調査したところ、肯定的な回答をした人は56.2%(「とてもそう感じる」と回答した人が10.7%、「比較的そう感じる」と回答した人が45.5%)となりました。
また、旅行会社を利用したことによる高揚感の向上度合い別にNPSも分析したところ、肯定的な評価をした利用者のNPSは13.8ポイントとなり、それ以外の利用者に比較しても高い結果となりました。
左図:旅行会社を利用したことによる高揚感の向上度合い
右図:旅行会社を利用したことでの高揚感への向上度合い別NPS
さらに旅行会社を利用したことでの高揚感への印象別に満足度評価を比較したところ、肯定的な評価をした利用者においては業界全体のロイヤルティ醸成要因にもなっている担当者に関連する項目の満足度評価が高くなりました。特に「担当者の期待を超える提案力」や、「担当者の説明のわかりやすさ」、「担当者による要望に合ったプランの提案」といった項目は全体のロイヤルティ項目の中でも満足度評価の差分が大きくなり、担当者の対応力が旅行の高揚感につながることがうかがえる結果となりました。
図:旅行会社を利用したことでの高揚感の向上度合い別にみた、担当者に関連した満足度評価
旅行の計画を立てるのにあたりどのようなところから情報を探しているか調査したところ、最も多いのは「旅行代理店・旅行関連サイトのホームページや特集ページ」(34.2%)となり、次いで「家族や友人・知人からのお薦め」(33.0%)、「旅行ガイドブックや情報誌(るるぶ、じゃらん、ことりっぷなど)」(19.8%)が続きました。
年代別に見たところ、20代以下の若年層においては「インフルエンサーや著名人のSNS」、「一般消費者のSNS」などが高くなったほか、30代・40代では「比較サイト(トラベルコ、trivagoなど)」が、60代以上においては「旅行代理店・旅行関連サイトのDM・パンフレット」や「新聞や雑誌の記事や広告」を主な情報源として利用している傾向がみられました。
対象の旅行会社の利用に対し、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.7ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【総合型旅行会社】
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。