2025/06/11
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、生命保険業界を対象に、契約後の訪問や面談、連絡、情報提供といった、一連のアフターフォロー体験に焦点を当て、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。有効回答数は5,451件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の生命保険の契約者がアフターフォローの体験を踏まえ、友人や同僚、家族にその生命保険を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、プルデンシャル生命、明治安田生命、メットライフ生命
対象の生命保険13社のうち、生命保険のアフターフォロー体験に対するNPSのトップはソニー生命(-31.4)、2位は東京海上日動あんしん生命(-36.1)、3位はプルデンシャル生命(-37.7)となりました。対象13社のNPS平均は-50.5、またトップ企業とボトム企業との差は31.3ポイントとなりました。
生命保険業界のアフターフォローにおけるロイヤルティを醸成する要素を20の項目で分析したところ、「担当者から提供される情報の内容の適切さ」や「自身の状況に応じた、担当者の柔軟な対応」、また「生命保険全般についての相談しやすさ」といった担当者の対応力に関連する項目となりました。また、「契約後の担当者のお客様を大切にする姿勢・寄り添う姿勢」や、「担当者の金融や保険に対するプロとしての信用度」といった担当者の専門性などもロイヤルティを醸成する要素となりました。また、該当者のみとなるものの「サポートセンターなどお客様サポート窓口による自身が感じる要望や、生活状況の変化に関するヒアリング力の高さ」や「サポートセンターなどお客様サポート窓口から提供される情報の内容の適切さ」といった、お客様サポート窓口に関連する項目もロイヤルティ醸成要因となりました。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、担当者の「生命保険以外(資産形成・教育・老後など)に関する相談のしやすさ」や「自身の感じる不安や関心事に関するヒアリング力の高さ」、また「自身の生活状況や生活環境の変化に応じた適切なタイミングでのコミュニケーション」といった項目となりました。
図:生命保険のアフターフォローにおけるロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/lifeinsurance_a/inquiry/
NPS1位となったソニー生命では、業界全体のロイヤルティ醸成要因にもなった「自身の状況に応じた、担当者の柔軟な対応」や「担当者から提供される情報の内容の適切さ」への評価が高くなりました。また2位の東京海上日動あんしん生命は「自身の生活状況や生活環境の変化に応じた適切なタイミングでのコミュニケーション」や「コミュニケーション手段の適切さ」、3位のプルデンシャル生命は「契約後の担当者のお客様を大切にする姿勢・寄り添う姿勢」や「担当者の金融や保険に対するプロとしての信用度」が評価され、それぞれNPS上位となりました。
生命保険会社から受けたアフターフォローの手段について調査をしたところ、最も多いのは「担当者による訪問(自宅・喫茶店など)」(58.4%)となりました。次いで「担当者からの電話」(39.9%)、「担当者からのメール」(18.9%)と、担当者から受けるアフターフォローが続きました。また、デジタルの手段においては「契約者専用サイト(マイページ)」が14.6%、「スマートフォンアプリ」は5.6%、サポートセンターなどお客様窓口からのアフターフォローとしては「電話」が8.9%、「メール」8.2%となりました。
図:受けたことのあるアフターフォローの形態
担当者からの訪問や電話などのアフターフォローと、サポートセンターやデジタルチャネル(マイページ・アプリ、メルマガなど)を活用したアフターフォローの両方を受けたことがある契約者に対し、サポートセンターやデジタルチャネルによるアフターフォローは、担当者から受けるアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じるか調査したところ、「とてもそう感じる」と回答した契約者は10.7%、「ややそう感じる」と回答した契約者は33.6%となりました。
またサポートセンターやデジタルチャネルによるアフターフォローが、担当者から受けるアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じるかという印象別にNPSも分析したところ、「とてもそう感じる」と回答した契約者のNPSは33.3、また「ややそう感じる」と回答した契約者も-20.3となり、それ以外の契約者に比較してNPSが高くなりました。
上図:サポートセンターやデジタルチャネルのアフターフォローが、担当者から受けるアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じるかという印象
下図:サポートセンターやデジタルチャネルのアフターフォローが、担当者から受けるアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じるかという印象別にみたNPS
これらの印象別に満足度も比較したところ、肯定的(「とてもそう感じる」、「ややそう感じる」)な回答をした契約者とそれ以外の回答(「どちらでもない」、「あまりそう感じない」、「全くそう感じない」)をした契約者の満足度平均値の差分で最も大きくなったのは「サポートセンターなどお客様サポート窓口による自身が感じる要望や、生活状況の変化に関するヒアリング力の高さ」となりました。次いで「サポートセンターなどお客様サポート窓口から提供される情報の内容の適切さ」や「マイページやアプリなどでの、自身が感じる要望や生活状況の変化を把握しようとする姿勢」といった項目が続きました。
サポートセンターやデジタルチャネルのアフターフォローが、担当者の訪問や電話などのアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じている契約者ほど、サポートセンターやデジタルチャネルに対する評価も高く、ロイヤルティにも貢献していることが示唆される結果となりました。
図:サポートセンターやデジタルチャネルのアフターフォローが、担当者から受けるアフターフォローと同じくらい役に立っていると感じるかという印象別にみた、満足度平均値比較(差分の大きい上位5項目)
生命保険会社からアフターフォローを受ける前において、アフターフォローを希望していたか調査したところ、「アフターフォローを希望していた」と回答した人は7.3%、また「比較的アフターフォローを希望していた」と回答した人は17.4%となりました。一方「アフターフォローを希望していなかった」と回答した人は22.6%、「あまりアフターフォローを希望していなかった」と回答した人も15.1%となり、アフターフォローを受ける前では、アフターフォローを希望していなかった人が多くなりました。
図:アフターフォローを受ける前において、アフターフォローを希望していた割合
アフターフォローを希望していなかった回答者に対し、アフターフォローを受けたことでアフターフォローに対する重要性や必要性などの価値を感じるようになったか調査したところ、「価値を感じている」と回答した人は2.9%、「ある程度価値を感じている」と回答した人は17.5%となり、肯定的な回答をした人は2割程度にとどまりました。
一方で、アフターフォローを受けたことでの、アフターフォローの価値に対する印象別にNPSを分析したところ、「価値を感じている」と回答した人のNPSは21.7、「ある程度価値を感じている」と回答した人のNPSも-29.6となり、「価値を感じていない」や「あまり価値を感じていない」と回答した人と比べてNPSが高くなりました。
左図:アフターフォローを受けたことでの、アフターフォローの価値に対する印象
右図:アフターフォローを受けたことでの、アフターフォローの価値に対する印象別NPS
元々アフターフォローを希望していなかった一方で、アフターフォローを受けたことでその重要性などの価値を感じるようになった人に対し、その理由を調査したところ、最も高くなったのは「担当者の対応が親身で安心感を覚えたから」(46.6%)となりました。次いで「契約している保険内容に関する理解が深まったから」(32.8%)、「担当者の知識や質問への回答が期待以上の内容だったから」(18.5%)が続きました。
元々アフターフォローを希望していなかった契約者においても、担当者の親身な対応で安心感を醸成することや保険内容への理解を深めていくことが、アフターフォローの重要性を認識するきっかけとなり、ロイヤルティ向上につながることがうかがえる結果となりました。
図:アフターフォローを希望していなかったものの、アフターフォローの価値を認識するようになった理由
今後希望するアフターフォローの形態について調査したところ、最も高いのは「自宅への訪問による面談」(29.2%)となりました。次いで「担当者からの電話」(23.8%)、「担当者からのメール」(17.8%)、「自宅以外の場所での面談(喫茶店など)」(16.1%)が続きました。
年代別に情報源を分析したところ、50代以上では、「担当者からの電話」が高くなった一方、30代以下の若年層では「自宅以外の場所での面談(喫茶店など)」や「オンラインによる面談」、「店舗での面談」などの項目において、他年代に比較して高くなりました。
対象の生命保険会社におけるアフターフォローを受けての今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.3、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.8、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.7となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【生命保険部門 アフターフォロー調査】
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。