【NPS®(顧客推奨度)ベンチマーク調査】
生命保険(請求体験)おすすめランキング

新型コロナウイルス感染による給付金請求件数が増加する中、業界全体のNPSは低下傾向。
請求から支払いまでの迅速さやWeb手続きのしやすさがロイヤルティを分けるポイントに

2023/06/15

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、生命保険における請求体験に焦点を当てた、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は4,985件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、保険金・給付金の請求体験を受けたことがある回答者が、友人や同僚、家族にその生命保険会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。

調査対象企業(アルファベット順、50音順):
SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、明治安田生命、メットライフ生命

生命保険部門 請求体験調査のNPS1位はアフラック

NPSベンチマーク調査2023生命保険部門 請求体験調査は、生命保険会社へのロイヤルティへの影響の大きい保険金・給付金の請求体験に焦点をあてた調査*になります。生命保険における請求体験において、対象の生命保険会社12社のうち、NPSのトップはアフラック(-28.5ポイント)、2位はソニー生命(-30.2ポイント)、3位は東京海上日動あんしん生命(-31.2ポイント)となりました。12社のNPS平均は-35.5ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は11.9ポイントとなりました。

業界全体のNPSは低下傾向。低下が顕著な企業では、請求から支払いまでの迅速さへの不満がロイヤルティを押し下げる要因に

業界全体のNPSの変化を分析したところ、調査を開始した2021年から低下傾向にあり、2022年から2023年にかけては-3.1ポイント低下しました。対象の12社ごとにNPSが変化した傾向は異なりますが、昨年から大きく低下(5ポイント以上の低下)している5社が業界全体のNPSを押し下げる結果となりました。

図:業界全体のNPSの経年推移

図:業界全体のNPSの経年推移

NPSが大きく低下した企業5社とその他の企業7社で比較すると、NPSが低下した企業ではロイヤルティに与える影響度が高い「請求から支払いまでの迅速さ」(相関係数0.55)の満足度が、前年と比較して大きく低下しました。

図:「請求から支払いまでの迅速さ」の満足度平均値の前年比較

図:「請求から支払いまでの迅速さ」の満足度平均値の前年比較

NPSが大きく低下した企業の自由記述においても、「電話をかけ始めてからオペレーターに繋がるまで30分かけっぱなしだった。請求日から振込まで2週間かかった」、「担当者がころころ変わり対応に時間を要するのは納得がいかなかった」、「対応が遅くなるのであればもっと早く連絡をしてほしい」といったコメントがみられました。新型コロナウイルスの感染による給付金請求件数が増加する中、これらの企業においては支払いの遅延や、請求手続き時の対応の遅れが要因となって、NPSが低下したものとみられます。

業界全体ではWebサイトでの手続きのしやすさで今後の改善が期待される

生命保険の請求体験に関する業界全体のロイヤルティの要因を分析したところ、「担当者の説明のわかりやすさ」や「担当者の寄り添う姿勢・お客様の声を大事にする姿勢」といった担当者に関連する項目や、「オペレーターの説明のわかりやすさ」がロイヤルティを醸成する要素となりました。
一方でロイヤルティを向上させるために優先的に改善が期待される項目としては、「Webサイトでの手続きのしやすさ」や「Webサイトでの情報収集のしやすさ(給付金・保険金請求から入金までの手順など)」といった、Webサイト上での請求手続きに関連する項目があがりました。また、「Webサイトでの対象の保険内容の確認のしやすさ」や「Webサイトでの保険金手続きに必要な書類のダウンロードのしやすさ」においても今後の改善が期待される結果となりました。
アフラックは、「Webサイトでの手続きのしやすさ」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPS1位につながりました。

図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)

図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:https://www.nttcoms.com/service/nps/report/lifeinsurance_t/inquiry/

請求手続き時のWebサイトの利用率は直近1年で増加

保険金・給付金の請求手続きを行った際に利用した手段や経路を調査したところ、Webサイトの利用率は2022年から2023年にかけて7.5%増加し、29.2%となりました。特に、新型コロナウイルス感染に関連した保険金や給付金の請求手続きを行った人においては、Webサイトの利用率が38.2%と高い結果となりました。業界全体の課題項目でもある、Webサイトでの請求手続き利用者が増加していることから、今後のWebチャネルの重要性が示唆される結果となりました。

図:請求手続き時におけるWebサイト利用率の経年推移

図:請求手続き時におけるWebサイト利用率の経年推移

新型コロナウイルスの感染による給付金請求についてお知らせを受けた人はNPSが高い傾向に

医療保険もしくは死亡保険の保険金・給付金の請求を行った人に対し、新型コロナウイルスの感染に関連した請求であったかどうかを調査したところ、「コロナに関連した入院に対する給付金の請求」は12.6%、「コロナに関連した自宅療養や宿泊施設療養(みなし入院)に対する給付金の請求」は30.1%、「コロナに関連した死亡保険金の請求」は0.7%であり、43.4%が新型コロナウイルスの感染に関連した請求となりました。

図:新型コロナウイルスの感染に関連した請求の割合

図:新型コロナウイルスの感染に関連した請求の割合

また、新型コロナウイルスの感染に関連した請求を行った人に対し、対象の企業やその担当者から、新型コロナウイルス感染による自宅療養や宿泊施設療養(みなし入院)でも給付金の請求ができることについて、お知らせを受けたかどうかを調査したところ、全体の57.0%が「お知らせを受けた」と回答しました。
さらに、お知らせを受けた人と受けなかった人でNPSを比較したところ、お知らせを受けた人のNPSは-16.1ポイントと高い一方で、受けなかった人のNPSは-40.6ポイントと低い結果となりました。自由記述においても、「コロナ罹患による保険給付情報を保険会社から提供されなかった」や「事前に担当の説明がなくてコロナ給付金のことも家族を通じて知った」といった不満の声がみられました。生命保険会社による、お客様にとって必要とされる情報提供の充実が期待される結果となりました。

左図:新型コロナウイルスの感染による給付金請求についてお知らせを受けた割合 右図:新型コロナウイルスの感染による給付金請求についてのお知らせ受領有無別NPS

左図:新型コロナウイルスの感染による給付金請求についてお知らせを受けた割合
右図:新型コロナウイルスの感染による給付金請求についてのお知らせ受領有無別NPS

推奨度が高いほど、対象の生命保険会社の継続利用意向も高い傾向に

対象の生命保険において、請求体験を受けての今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.5ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となりました。

図:推奨セグメント別継続利用意向

図:推奨セグメント別継続利用意向

<調査概要>

  • 調査対象企業(アルファベット順、50音順): SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、明治安田生命、メットライフ生命
  • 調査対象者: インターネットリサーチモニターのうち上記生命保険で1年以内に保険金などの請求経験がある人
  • 調査方法: NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間: 2023/5/12(金)~ 2023/5/16(火) ※新型コロナウイルスの第5類への移行に伴い、みなし入院が支払い対象外になったのは2023/5/8(月)
  • 有効回答者数: 4,985名
  • 回答者の属性:
    • 【性別】男性:62.7%、女性:37.3%
    • 【年代】20代以下:3.1%、30代:14.0%、40代:20.1%、50代:27.2%、60代以上:35.5%

<*NPS調査体系について>

NPS調査には、一連の顧客体験を通じた総合的なロイヤルティを測定するリレーショナル調査と、個別の顧客体験の評価を測定するトランザクショナル調査の大きく2つがあります。トランザクショナル調査は、CXの長さによってさらにショートタームジャーニー調査とタッチポイント調査に分類されます。

今回の生命保険請求体験調査にあたるショートタームジャーニー調査は、例えば保険金の請求手続きや問合せなど、個別のジャーニーの体験が完了した直後に調査を行います。一方でタッチポイント調査は、Webサイトやコールセンターなど、個別のタッチポイントの体験直後に調査を行います。ショートタームジャーニー調査を行うことで、複数のタッチポイントをまたがったCXでのお客様の声を把握することが可能です。

図:NPS調査体系

図:NPS調査体系

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。