2025/05/28
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、生命保険における請求体験に焦点を当てた、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は4,496件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の生命保険の保険金・給付金の請求体験を受けて、回答者が、友人や同僚、家族にその生命保険会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
NPSベンチマーク調査2025生命保険部門 請求体験調査は、生命保険会社におけるロイヤルティへの影響の大きい保険金・給付金の請求体験に焦点をあてた調査*になります。対象の生命保険会社12社のうち、請求体験におけるNPSのトップはソニー生命(-23.3)、2位はアフラック(-26.5)、3位はメットライフ生命(-28.8)となりました。12社のNPS平均は-32.3、またトップ企業とボトム企業との差は20.1ポイントとなりました。
生命保険の請求体験に関する業界全体のロイヤルティの要因を分析したところ、「請求から入金までの流れ・手順のわかりやすさ」がロイヤルティを醸成する要素となりました。
一方でロイヤルティを向上させるために優先的に改善が期待される項目としては、「担当者の説明のわかりやすさ」や「担当者の寄り添う姿勢・親身な対応」、「オペレーターの寄り添う姿勢・親身な対応」となりました。また、「Webサイトでの対象の保険内容の確認のしやすさ」や「請求のための書類の記入のしやすさ」においても今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
https://www.nttcoms.com/service/nps/report/lifeinsurance_t/inquiry/
ソニー生命は、業界全体の課題となった「担当者の説明のわかりやすさ」や「担当者の寄り添う姿勢・親身な対応」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPS1位につながりました。2位のアフラックにおいては「請求から入金までの流れ・手順のわかりやすさ」や「請求のための書類の記入のしやすさ」が、3位のメットライフ生命においては「Webサイトでの対象の保険内容の確認のしやすさ」や「Webサイトでの保険金手続きに必要な書類のダウンロードのしやすさ」がロイヤルティ醸成のポイントとなりました。
請求手続き時に利用した手段を調査したところ、利用率が最も高いのは「担当者」(51.3%)となり、次いでWebサイト(26.2%)、コールセンター(19.1%)が続きました。上位3つの手段について、時系列で比較したところ、「担当者」は過去5年間でみても最も多い利用手段となりました。また「コールセンター」については年々利用率が低下傾向にある一方で、Webサイトの利用率は2022年から2023年にかけて利用率が上昇したことで、2023年以降はWebサイトの利用率がコールセンターの利用率を上回りました。
図:請求手続き時に利用した手段(2021年~2025年)
請求手続きを行った際にWebサイトを利用した人に対し、その理由を調査したところ、最も高いのは「時間や場所を選ばずに手続きができるから」(79.3%)となりました。次いで、「自分のペースで手続きを進められるから」(46.8%)、「郵送や窓口に行く手間が省けるから」(43.5%)が続き、利便性や手間がかからないことが主な理由となりました。
図:請求手続き時にWebサイトを利用した理由(上位5項目)
一方で、担当者やコールセンターなどのリアルの手段を利用した理由としては、最も高いのは「保険の内容や請求の対象となるかどうかの確認をしたかったから」(29.8%)となりました。次いで「手続きの方法がわからなかったから」(29.7%)、「直接話を聞いて安心したかったから」(28.6%)が続きました。担当者やコールセンターにおいては、不明点の確認や安心感を得ることが主な理由となり、リアルとネットではそれぞれ異なる理由で選択されていること分かりました。
図:請求手続き時に担当者やコールセンターを利用した理由(上位5項目)
請求手続き後から保険金受け取りまでの間に、保険会社から進捗状況などのフォローがあったかどうかを調査したところ、「担当者からのフォローの連絡があった」と回答した割合は42.7%、「メールやアプリで進捗状況の通知があった」が25.9%、「フォローはなかった」が35.3%となりました。
また、請求手続き後のフォローの有無別にNPSを分析したところ、「担当者からのフォローの連絡があった」人のNPSは-17.2、「メールやアプリで進捗状況の通知があった」人では-29.5となり、「フォローがなかった」人と比較して高くなりました。
右図:請求手続き後から保険金受け取りまでの間のフォローの有無
左図:請求手続き後から保険金受け取りまでの間のフォローの有無別NPS
さらに、請求手続き後から保険金支払いまでに保険会社からの進捗状況などのフォローがあったことで安心感を得られたかどうかを調査したところ、最も割合が高いのは「そう思う」もしくは「ややそう思う」と回答した割合は全体の70.7%となりました。請求手続き後の担当者からのフォローやメール・アプリによる進捗状況の通知が契約者の安心感につながり、ロイヤルティに寄与することが示唆される結果となりました。
図:請求手続き後のフォローによって安心感を得られたかの評価
対象の生命保険において、請求体験を受けての今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.5、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【生命保険 請求体験調査】
NPS®調査には、一連の顧客体験を通じた総合的なロイヤルティを測定するリレーショナル調査と、個別の顧客体験の評価を測定するトランザクショナル調査の大きく2つがあります。トランザクショナル調査は、CXの長さによってさらにショートタームジャーニー調査とタッチポイント調査に分類されます。
トランザクショナル調査は、CXの長さによってさらにショートタームジャーニー調査とタッチポイント調査に分類されます。今回の生命保険部門請求体験調査にあたるショートタームジャーニー調査は、例えば保険金の請求手続きや問合せなど、個別のジャーニーの体験が完了した直後に調査を行います。一方でタッチポイント調査は、Webサイトやコールセンターなど、個別のタッチポイントの体験直後に調査を行います。ショートタームジャーニー調査を行うことで、複数のタッチポイントをまたがったCXでのお客様の声を把握することが可能です。
図:NPS調査体系
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。