2025/12/03
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、セキュリティソフト業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答数は2,219件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象のセキュリティソフトの利用者が、友人や同僚、家族にそのセキュリティソフトを「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
ESET(キヤノンマーケティングジャパン)、McAfee(マカフィー)、Norton(ノートンライフロック)、ZERO(ソースネクスト)、ウイルスバスター(トレンドマイクロ)
対象のセキュリティソフト5社のうち、NPSトップはESET(-8.7)となりました。2位はZERO(-13.6)、3位はウイルスバスター(-21.5)となりました。5社の平均は-26.2、トップとボトムの差は37.5ポイントとなりました。

業界全体のロイヤルティを醸成する要素を20項目で分析したところ、「ウイルスの検出率など防御率の高さ」や、「動きの軽快さ・処理速度の早さ」、「アップデートのしやすさ」といった機能面がロイヤルティ醸成要因となりました。加えて、「サービスの信頼性」や「お客様を守ろうとする姿勢・大切にする姿勢」、「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」など企業姿勢に関わる項目もロイヤルティの醸成に寄与しました。
一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、「誤検出率の低さ」や、「自分にあった製品や機能があること」、また、「コストパフォーマンスの良さ」が挙がりました。
セキュリティソフト業界におけるロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:
URL:https://www.nttcoms.com/service/nps/report/inquiry/
NPS1位となったESETでは、「動きの軽快さ・処理速度の早さ」の満足度が高くなったほか、「ウイルス検出率の高さ」がロイヤルティ醸成要因となりました。2位のZEROは「コストパフォーマンスの良さ」の満足度が高かったことに加え、「自分に合った製品や機能があること」がロイヤルティ醸成につながりました。また、3位のウイルスバスターでは「ウイルスの検出率など防御率の高さ」や「サービスの信頼性」がロイヤルティ醸成要因となりました。
対象のセキュリティソフト会社で契約更新を行ったことがある利用者に対し、契約更新に関する案内を受けたことがある利用者の割合を調査したところ、全体の84.3%が案内を受けたことがあると回答しました。
案内を受けたことがある利用者に対し、受け取った案内が契約を更新する後押しになったか調査したところ、「更新する後押しになった」と回答した人は35.5%、「やや更新する後押しとなった」回答者は31.4%となりました。
図:契約更新に関する案内が更新の後押しとなったかに対する評価
案内の内容が契約更新の後押しになった人とならなかった人別に、契約更新のタイミングで受け取った具体的な案内の内容を比較しました。後押しになった人のほうが受け取った割合が高い案内のうち、「現在のプランの状況の案内」が最も差分が大きくなり、次いで「早期更新割引や長期契約割引などの特典の案内」、「次回契約時におけるおすすめプランの提案」が続きました。契約更新時において、現在のプランの状況や、キャンペーン・特典、おすすめプランの提案などの案内が重要であることがうかがえる結果となりました。
図:契約更新のタイミングで受け取った案内の内容別にみた、契約更新の後押しとなったかに対する評価
(差分が大きい3項目)
近年、送信者を詐称したメールなどで偽のホームページに誘導しクレジットカード番号やアカウント情報などを盗み出す「フィッシング詐欺」が増加しています。特にスマートフォンなどのモバイルデバイスにおいては、ショートメッセージ(SMS)を悪用し、個人情報を搾取する「スミッシング詐欺」と呼ばれる攻撃が増加しており、セキュリティソフト会社では注意を呼び掛けるほか、モバイル版(スマートフォン・タブレット)においてSMSや悪意のあるサイトを検出しブロックする機能などを提供しています。
このことを背景に、該当のセキュリティソフトにおいてモバイル版の利用割合を調査したところ、全体の53.9%がモバイル版を利用している結果となりました。またPC版とモバイル版の利用割合を分析したところ、PC版・モバイル版併用者は33.1%、PC版のみの利用者は46.1%、モバイル版のみの利用者は20.8%となりました。
PC版・モバイル版の利用状況別にNPSも分析したところ、PC版・モバイル版併用者のNPSは-16.8となり、PC版のみもしくはモバイル版のみの利用者に比べて高くなりました。
左図:セキュリティソフトのPC版・モバイル版の利用状況
右図:セキュリティソフトのPC版・モバイル版の利用状況別にみたNPS
PC版・モバイル版併用者と、PC版のみ、もしくはモバイル版のみの利用者で満足度を比較したところ、いずれの項目もPC版・モバイル版併用者のほうが満足度が高くなりました。特に「動きの軽快さ・処理速度の早さ」や「ウイルス検出率など防御率の高さ」といった機能面のほか、「お客様を守ろうとする姿勢・大切にする姿勢」や「サービスの信頼性」といった企業の信頼に関連する項目での差分も大きくなりました。
PC版・モバイル版の利用状況別にみた、満足度比較(差分の大きい上位4項目)
※該当者のみに聴取した項目は除く
また、スマートフォン・タブレットを所有しながらも、該当のセキュリティソフトのモバイル版を利用していない人にその理由も調査したところ、「モバイル版があるのを知らなかった」と回答した割合が42.4%と高くなりました。
セキュリティソフトのモバイル版は、現状では認知が低い点で課題がみられるものの、PC版・モバイル版の併用者においてはロイヤルティが高いことからも、PC・モバイルの両面でセキュリティソフトの利用を促進していくことの重要性がうかがえる結果となりました。
図:セキュリティソフトのモバイル版を利用していない理由
対象のセキュリティソフトにおいて利用の決め手となった情報源を調査したところ、1位は「量販店店頭」が全体の22.5%となり、最も高くなりました。2位は「家族や友人・知人からのお薦め」(21.5%)、3位「比較サイトでの評価」(18.6%)、4位「企業サイトを見て」(16.5%)が続きました。
対象のセキュリティソフトにおける今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.5、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.8、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.8となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【セキュリティソフト】
※NPSの値は小数点第 2 位を四捨五入しており、同値の場合、ランキングで同順位としている
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。