2023/08/03
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、銀行業界を対象に、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は6,099件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の銀行の利用者が、友人や同僚、家族にその銀行を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
<調査対象企業(アルファベット順、50音順)>
auじぶん銀行、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)、SBI新生銀行、イオン銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行、りそな銀行
対象の銀行13行のうち、NPSのトップは住信SBIネット銀行(-16.7ポイント)、2位はソニー銀行(-20.9ポイント)、3位はセブン銀行(-31.2ポイント)となりました。対象13行のNPS平均は-42.7ポイント、またトップ行とボトム行との差は54.3ポイントとなりました。
銀行業界全体のロイヤルティを醸成する要素としては、「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」や「利用時の安心さ・セキュリティの信頼性」といった利用している銀行に対するブランドイメージや、安心さ・信頼性に関連する項目となりました。また、「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」や「ネットバンキングの使いやすさ・分かりやすさ」といったデジタルの顧客接点に対する評価や、「手続きの簡単さ」や「問い合わせ時の応対の良さ」といった、手続きや応対の良さも銀行業界全体のロイヤルティを醸成する要因となりました。
一方で銀行業界全体における今後の改善が期待される項目としては「お客様に寄り添う姿勢・大切にする姿勢」や「不祥事を未然に防ぐ取り組み・企業努力」といった企業姿勢に関連した項目のほか、「ニーズを満たす商品のラインナップ・商品の魅力」、「サービスの対価に見合った合理的な手数料」といった、商品性・手数料に関連する項目、また「他金融機関との連携の良さ・使い勝手の良さ」なりました。
図:銀行業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:https://www.nttcoms.com/service/nps/report/bank/inquiry/
NPSおすすめランキング1位となった住信SBIネット銀行においては、「ネットバンキングの使いやすさ・分かりやすさ」や「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」、また「他の金融機関との連携の良さ・使い勝手の良さ」といった点がロイヤルティを醸成する要因となりました。2位のソニー銀行では「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」や「お客様に寄り添う姿勢・大切にする姿勢」をはじめとした企業イメージや姿勢が、3位のセブン銀行は「店舗・ATMの利便性」の評価がそれぞれ高くなり、NPS上位となりました。
近年、銀行業界においては、利用者の口座状況や取引履歴などを分析し、利用者それぞれに合わせた案内や情報発信を行うパーソナル化の取り組みが進んでいます。そこで、利用している銀行から受け取ったことがある情報や案内を調査したところ、最も多いのは「銀行が提供する新しいサービスや機能に関する情報」となり、パーソナル化された情報である「自身の入出金状況や預金残高に応じた無駄な出費や貯金に関する助言・提案」は8.6%、「自身の入出金状況や預金残高に応じた資産運用の案内・提案」は4.7%にとどまりました。
図:該当の銀行から受け取ったことがある情報
また、パーソナル化された情報を受け取っている利用者のNPSは-9.7ポイントとなり、パーソナル化以外のいずれかの情報を受け取っている利用者や、案内やお知らせを受けたことがない利用者に比較してNPSが高くなりました。
図:パーソナル化された情報の受け取り有無別NPS
※パーソナル化された情報の受け取りについては「自身の入出金状況や預金残高に応じた無駄な出費や貯金に関する助言・提案」、「自身の入出金状況や預金残高に応じた資産運用の案内・提案」の回答者を対象とした。
また、該当の銀行から資産運用の案内を受けたことがある利用者を対象に、案内を受けての資産運用の検討状況を調査しました。その結果、パーソナル化された資産運用の案内を受けた利用者は、実際に資産運用を始めた割合が21.9%となり、パーソナル化されていない資産運用の案内を受けた利用者よりも割合が高くなりました。資産運用を始める予定である利用者と資産運用を検討している利用者の割合についても、パーソナル化されていない資産運用の案内を受けた利用者に比べて高くなりました。利用者の口座状況や取引状況に基づいた、利用者それぞれに合わせた案内をすることで、資産運用をはじめるきっかけにつながるなど、パーソナル化の重要性が示唆される結果となりました。
図:パーソナル化された情報の受け取り別に見た資産運用の検討状況
※パーソナル化された資産運用の案内・提案については「自身の入出金状況や預金残高に応じた資産運用の案内・提案」の回答者を対象とした。
対象の銀行のグループ企業などの系列の証券会社で資産運用を行っているか調査したところ、該当の銀行利用者のうち、18.5%が系列・グループの証券会社において資産運用を行っている結果となりました(系列の証券会社がない銀行は対象から除く)。
これらの利用者に対し、系列の証券会社で資産運用することのメリットを調査したところ、最も高くなったのは「自動入出金の機能があること(スイープサービス)」(43.3%)となり、次いで「銀行と証券会社の口座管理が簡単であること(アグリケーション)」(31.1%)、「銀行と証券会社間で、同一のID・PWでログインできること(ログイン連携)」(28.3%)が続きました。
図:系列の証券会社を利用することで感じるメリット
これら系列の証券会社の使用によるメリットの実感有無別にNPSも分析したところ、メリットを感じている利用者のNPSは-13.4ポイントとなった一方、メリットを感じていない利用者のNPSは-51.1ポイントとなりました。
メリットを感じない利用者に、その理由を自由記述で調査したところ「どんなメリットがあるか具体的に知らないから」や、「グループ内でのメリット、金利優遇、高付加価値の情報、ポイント制度など何にも提供されていないと感じている」といった声がみられ、今後は金融機関の系列のグループ会社を利用することのメリットを訴求することや、グループ間での連携強化などが求められる傾向にあることがうかがえる結果となりました。NPS1位となった住信SBIネット銀行では、推奨理由においてSBI証券との連携の良さについての評価も多くみられました。
図:系列の証券会社の利用によるメリット実感有無別NPS
資産運用を行っている利用者に対し、資産運用に関する情報を主にどこから得ているか調査したところ、最も高くなったのは、「銀行のホームページ」(23.5%)となり、次いで「資産運用関連サイト」(17.3%)、「新聞」(16.4%)と続きました。
年代別でみたところ、20代以下や30代においては「SNS」や「Youtubeなどの動画配信サービス」が高い割を占めた一方、60代以上においては「新聞」や「資産運用関連サイト」などを主な情報源としており、年代ごとでの情報収集の仕方に傾向がみられました。
対象の銀行の利用者に対し、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6ポイント、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.1ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均6.0ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
NTTコム オンラインNPSベンチマーク調査2023「銀行部門」で第1位に輝いた住信SBIネット銀行株式会社。全社的にNPSをモニタリングしており、徹底した「アプリファースト」のサービス・プロダクト展開と、お客さまの声をリアルタイムに反映するスピーディーなPDCAサイクルを構築し、顧客ロイヤルティ向上に取り組んでいます。「お財布としての銀行」の使いやすさを追求するためのデジタル活用と、NPSとの向き合い方についてお伺いしました。
【銀行】
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。