【NPS®(顧客推奨度)ベンチマーク調査 2023】
代理店型自動車保険おすすめランキング

保険金不正請求問題の報道前後でブランドイメージの毀損がNPSに影響を及ぼす

2023/11/24

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、代理店型自動車保険業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は1,789件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の自動車保険会社の利用者が、友人や同僚、家族にその自動車保険会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。

<調査対象企業(アルファベット順、50音順)>
AIG損保、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上

代理店型自動車保険部門のNPSおすすめランキング1位は東京海上日動

2023年10月に実施した調査の結果、代理店型自動車保険5社のうち、NPSのトップは東京海上日動(-32.7ポイント)、2位はAIG損保(-38.7ポイント)、3位は三井住友海上(-45.0ポイント)となりました。代理店型自動車保険業界全体のNPS平均は-47.0ポイント、トップ企業とボトム企業との差は31.0ポイントとなりました。

業界全体では事故解決サービスの充実度やマイページの使いやすさがロイヤルティを醸成

代理店型自動車保険業界全体におけるロイヤルティを醸成する要素としては、「事故解決サービスの充実度」や「マイページ・契約者ページなどの契約者向けWebサイトの見やすさ・分かりやすさ」といった項目となりました。また、代理店型自動車保険ならではの要素として「担当者の説明のわかりやすさ」や「自分に合った保険サービスを提案してくれる」といった担当者の対応も評価され、ロイヤルティを押し上げる要素となりました。

一方で、ロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「お客様に寄り添う姿勢、お客様の声に耳を傾ける姿勢」となりました。また、「契約者の安全運転の促進や交通事故を未然に防ぐ取り組み」や「交通・運転データを活用し、社会全体の交通事故を削減する取り組み」についても、今後の改善が期待される結果となりました。

図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)

図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)

東京海上日動は、「保険商品の魅力・充実度」や「事故解決サービスの充実度」といった商品性に関する項目に加え、「担当者の説明のわかりやすさ」や「自分に合った保険サービスを提案してくれる」ことがロイヤルティに影響を与える結果となり、NPSおすすめランキング1位につながりました。2位のAIG損保においては、「最適なプランの探しやすさ、プランのカスタマイズのしやすさ」や「申込や住所変更などの手続きの簡単さ」で高い評価を得ました。3位の三井住友海上においては、「事故時の初期対応、事故解決等の対応スピードの速さ・スムーズさ」や「事故発生から保険金のお支払いまでのお客様に寄り添った対応や問題の解決力」が高く評価されました。

保険金不正請求問題の報道を受けても業界全体のNPSは変わらず。トップとボトムの差が拡大 

昨今、代理店型自動車保険業界において、中古車販売会社による保険金不正請求問題が報道されました。保険金不正請求問題の報道前後でのNPSを比較すると、報道前(2023年7月)と報道後(2023年10月)で業界平均に大きな変化はみられなかったものの、トップ企業とボトム企業の差が大きく開く結果となりました。

図:代理店型自動車保険業界における保険金不正請求問題報道前後でのNPS比較

図:代理店型自動車保険業界における保険金不正請求問題報道前後でのNPS比較

推奨度(友人や同僚におすすめできるか)が低下した利用者においてはブランドイメージやお客様に寄り添う姿勢がロイヤルティの阻害要因に

保険金不正請求問題の報道前後で自動車保険会社の推奨度(0点~10点の11段階で聴取)の変化を分析したところ、推奨度が2点以上向上した契約者の割合は8.1%、推奨度が2点以上低下した契約者の割合は13.4%となりました。また、報道前後でNPSが低下した企業では、推奨度が低下した契約者は28.9%と非常に高い割合となりました。

図:不正請求問題の報道前後で推奨度が変化した契約者の割合

図:不正請求問題の報道前後で推奨度が変化した契約者の割合

保険金不正請求問題の報道前後で推奨度が低下した契約者のロイヤルティ構成要素の満足度の変化を分析したところ、20項目すべてにおいて満足度が低下していることがわかりました。中でも、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」と「お客様に寄り添う姿勢、お客様の声に耳を傾ける姿勢」は満足度が大きく低下し、推奨度との相関も高まり、ロイヤルティを阻害する要因に変化しました。保険金不正請求問題によるブランドイメージが悪化し、推奨度を低下させる要因となったとみられます。このように、何らかの不祥事やネガティブな報道がなされた際には、企業への信頼感などブランドイメージが毀損され、ロイヤルティを阻害しやすく、NPSの回復に何年もかかるケースもみられます。詳細はブランドイメージと顧客ロイヤルティに関する分析レポートでご確認いただけます

図:推奨度が低下した契約者におけるロイヤルティ要因の変化

図:推奨度が低下した契約者におけるロイヤルティ要因の変化

保険金不正請求再発防止の取り組みを認知している契約者ほどNPSが高い傾向に

保険金不正請求問題を受け、自動車保険会社が実施している不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況を調査したところ、「よく知っている」は4.3%、「ある程度知っている」は13.0%にとどまり、「よく知らない」が36.1%と最も多い結果となりました。

図:保険金不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況

図:保険金不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況

また、保険金不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況別にNPSを分析したところ、「良く知っている」もしくは「ある程度知っている」と回答した契約者におけるNPSは-24.2ポイントと非常に高く、認知度が高いほどNPSも高い傾向がみられました。契約者に向けて、再発防止に向けた具体的な取り組みをわかりやすく伝えることの重要性が示唆されました。

図:保険金不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況別NPS

図:保険金不正請求の再発防止に向けた取り組みの認知状況別NPS

<調査概要>

【代理店型自動車保険】

  • 調査対象企業(アルファベット順、50音順): AIG損保、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上
  • 調査対象者: インターネットリサーチモニターのうち上記自動車保険契約者。2023年7月に実施した代理店型自動車保険会社のNPSベンチマーク調査の回答者に対し、追跡調査を実施
  • 調査方法: NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間: 2023/10/17(火)~ 2023/10/20(金)
  • 有効回答者数: 1,789名
  • 回答者の属性:
    • 【性別】男性:57.8%、女性:42.2%
    • 【年代】20代以下:7.0%、30代:13.1%、40代:24.7%、50代:19.7%、60代以上:35.5%

Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。